Amazonの評価なんて気にせず読むべし「悪の教典」(貴志 祐介)

悪の教典」(貴志 祐介)を読みました。

「悪の教典」(貴志 祐介)

貴志祐介さんの作品はどれも好きなのですが、「天使の囀り」は特に好きな作品で、今まで読んだ本の中で怖い作品は? と聞かれると、これを選ぶでしょう。

ところが「青の炎」あたりから、読みたい貴志祐介から徐々に離れてきました。そしてついに「新世界より 」では、世間の良い評価とは異なり、あまりおもしろく感じませんでした。

では、今回の「悪の教典」は?

内容(「BOOK」データベースより)
晨光学院町田高校の英語教師、蓮実聖司はルックスの良さと爽やかな弁舌で、生徒はもちろん、同僚やPTAをも虜にしていた。しかし彼は、邪魔者は躊躇いなく排除する共感性欠如の殺人鬼だった。学校という性善説に基づくシステムに、サイコパスが紛れこんだとき―。ピカレスクロマンの輝きを秘めた戦慄のサイコホラー傑作。

Amazon.co.jp: 悪の教典 上 (文春文庫): 貴志 祐介: 本」より

これは期待できるかも!

と思ったのですが、Amazonのレビューは低い・・・?

「悪の教典」(貴志 祐介)のAmazonのレビュー

そんなこともあって、気にはなっていたのですが、手を出さずにいました。
そして、ついに文庫化されたので、読んでみたのですが・・・

これがおもしろい!

貴志祐介さんとは波長があうのか、久々にあっという間に読んでしまいました。上下巻あわせて900ページほどを一気に読んだのは久しぶりです。

青の炎」や「硝子のハンマー」のような犯人視点で完全犯罪を行う話が好きな人は楽しめるのではないでしょうか?

ただ、主人公の蓮実聖司にはぜんぜん共感できないので、読んでいてイヤな気持ちにさせられたりするし、このストーリーが好きか? と聞かれると、「Yes!」とは言えなかったりするんですけど・・・

普通の人なら、モラルでやってはいけないと判断し、理性で抑えているようなことを、例えそれが犯罪であろうと蓮実は何の躊躇もなく、手を染めていきます。読んでいて、これが自分の中にあるイヤな部分を見ているような気分になってきました。

それでも、Amazonの評価なんて気にしないで、もっと早く読んでおけばよかったと思いました。