上級者向け? ミステリ初心者には難しかった「二流小説家」

「二流小説家」(デイヴィッド・ゴードン/青木千鶴)を読んだ。

二流小説家(デイヴィッド・ゴードン/青木千鶴)

外国のミステリが読みたくなったのだが、普段ほとんど読まないので、何を読めばいいのかわからない。
ハズレはイヤだということで、選んだのがこの「二流小説家」。

「このミステリーがすごい!」「週刊文春ミステリーベスト10」「ミステリが読みたい!」の三冠を初めてとったとか、Amazonのレビューもそんなに悪くない。

ハヤカワ・ポケット・ミステリというのがちょっと気になったけど、読んでみることにした。

今でこそ、ちょっとオシャレな感じがするハヤカワ・ポケット・ミステリだけど、昔は抽象画みたいなよくわからない表紙で、なんか本格って感じがした。
あのビニールのカバーも古くさい雰囲気で、初心者には近寄りがたい上級者向けな感じを醸し出していた。

それが2年ほど前に、ちょっと洋書っぽい感じで、ミステリに詳しくない人でも手に取れる装丁になった。
ビニールのカバーは相変わらず健在だが、逆に、カバーと帯をはずしてしまえば、さらに洋書感がアップ!
黄色い小口は、まるでペーパーバックだ。

これなら、日曜の昼下がりにカフェで読んだり、ニューカレドニアのビーチで読んでいても恥ずかしくないはずだ。たぶん・・・
いや、実際にニューカレドニアのビーチで読むなら「天国にいちばん近い島」を選ぶと思うが・・・

で、こちらがあらすじ。

ハリーは冴えない中年作家。シリーズ物のミステリ、SF、ヴァンパイア小説の執筆で何とか食いつないできたが、ガールフレンドには愛想を尽かされ、家庭教師をしている女子高生からも小馬鹿にされる始末。だがそんなハリーに大逆転のチャンスが。かつてニューヨークを震撼させた連続殺人鬼より告白本の執筆を依頼されたのだ。ベストセラー作家になり周囲を見返すために、殺人鬼が服役中の刑務所に面会に向かうのだが......。ポケミスの新時代を担う技巧派作家の登場! アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀新人賞候補作

Amazon.co.jp: 二流小説家 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ): デイヴィッド・ゴードン, 青木千鶴: 本」より

そんなわけで、今回初めてポケミスに手を出してみたのだけど、読んだ後の第一印象は「えっ、これで終わりなの?」だった。

途中で主人公のハリーが書くSF小説やヴァンパイア小説などが差し込まれるわけなのだが、よくあるSF小説やヴァンパイア小説のパロディにでもなってたのか? それすらよくわからない。
ただ、Amazonのレビューを読むと、そのあたりも楽しめる人には楽しめたようだ。

終盤までは楽しめたつもりでいたのだけど、このあたりもミステリ上級者の人はもっと楽しめるのかもしれない。
やはり、装丁はフレンドリーになっていたが、中味はまだまだ初心者には難しいハヤカワ・ポケット・ミステリであった。
もっとミステリーを読めってことなのかもしれない。

でも、今回読んでみてわかったが、僕は日本のミステリーの方が好きなのかもしれない。
親の因果が子に報うだとか、遺産相続を巡って兄弟が争うだとか、戦争で顔に傷を負った息子がマスク姿で復員してくるとか、事件を解決するために20年前の村人32人惨殺事件を追うとか、そういう方がワクワクしてくる。

以前読んだ「デッドウォーター」もそうだったのだが、スゴい死刑囚の話はもういらないように思う。
死刑囚に熱狂的なファンがいるだとか、刑務所の中から周りの人をコントロールして殺人を犯すとか、読んでいて、またかと思ってしまう。
羊たちの沈黙」以上のものなら読んでみたい気もするけど、そういうのはもういらなくない?