中高生の頃に読んでいたら、間違いなくハマっていた「機龍警察」

「機龍警察」(月村 了衛)を読んだ。

機龍警察(月村 了衛)

最初「機能警察」と空目をしていて、機能的な警察の話かと思っていたのだが、まったく違った。

大量破壊兵器の衰退に伴い台頭した近接戦闘兵器体系・機甲兵装。『龍機兵(ドラグーン)』と呼ばれる新型機を導入した警視庁特捜部は、その搭乗要員として姿俊之ら3人の傭兵と契約した。閉鎖的な警察組織内に大きな軋轢をもたらした彼らは、密造機甲兵装による立て籠もり事件の現場で、SATと激しく対立する。だが、事件の背後には想像を絶する巨大な闇が広がっていた......
"至近未来"警察小説を描く実力派脚本家の小説家デビュー作!

Amazon.co.jp: 機龍警察(ハヤカワ文庫JA): 月村 了衛: 本」より

龍機兵での戦闘が中心となった話かと思いきや、読んでみると龍機兵は控えめであまり出番はなかった。もちろん龍機兵の見せ場も用意されているので、戦闘が目当ての人も満足できると思う。
でも、あくまでも話の中心は、捜査を柱にそれを取り巻く登場人物の人間ドラマなど、戦闘以外になる。

「"至近未来"警察小説」というだけあって、警視庁と神奈川県警、キャリアとノンキャリアの軋轢など、警察小説にありがちな話なども盛り込まれている。機甲兵装や龍機兵が出てこなければ、かなり現実感のある話になるのではないだろうか?
唯一と言ってよいかもしれないリアリティを損なう設定が龍機兵に搭乗する元傭兵、元警察官、元テロリストだろうか?

もし本当に龍機兵が導入されたとしても、その貴重な兵器を動かすのが元傭兵、元警察官、元テロリストというのが「なるほど」と納得できないのだ。
普通に考えると、こわすぎるだろ?
これが特別な訓練を受けたエリート警察官だと違和感がないのだが、ただ、これだとまったく別の話になってしまう・・・

このあたり気になるのは自分だけかもしれない。
地球と小惑星の衝突を避けるため、石油採掘が本業の人を小惑星へ送り込む「アルマゲドン」よりも、プロフェッショナルが世界最高の技術を駆使して危機を乗り越える「アポロ13」の方が好きなのだ。

機甲兵装に龍機兵、そして搭乗するのが傭兵と、中高生の頃に読んでいたら、間違いなくハマっていたと思うのだが、今読むとハードボイルド調のキザな言い回しや、アニメっぽい雰囲気などが受け入れにくかった。

おもしろくないことはない。
でも、続編の「機龍警察 自爆条項」や「機龍警察 暗黒市場」を読もうとは思わなかった。

続編は、またいつか読みたくなった時に読むことにしよう。