悪夢を見ているような気分になる「エスケイプ・フロム・トゥモロー」は大人のおとぎ話だった

映画「エスケイプ・フロム・トゥモロー」を観た。

映画「エスケイプ・フロム・トゥモロー」アメリカ版

ちなみに上のポスターはアメリカ版のポスターで、日本のポスターは下のように指が5本になってる。

いろんな事情があるのだろう・・・

映画「エスケイプ・フロム・トゥモロー」日本版

この映画、上映している映画館も少ないし、知らない人も多いのではないだろうか。
まずは予告編を観て欲しい。

えっ? モノクロ?
怖そう・・・

この映画を知ったのは何ヶ月か前だ。当時はまだ日本語の予告編がなく、英語の予告編しかなかった。

これがその予告編だ。

当時は、ディズニーランドで隠し撮りで撮影したという情報しか知らなかった。だから、この予告編を観た時は、ホラーだと思っていた。

広い意味ではホラーになるかもしれないが、観ていてドッキリするシーンもないし、怖がらせるシーンもない。だからホラーが苦手な人でも安心して観ることができるだろう。

「エスケイプ・フロム・トゥモロー」エリオットの眼

あらすじはこんな感じ。

いろいろダメダメな平均的中年アメリカ人のジムは二児のパパ。この途方もない未来からの脱出ゲームは、ある朝ジムが突然会社をクビになったときから始まっていた。なにかにつけて口うるさい妻と、言うことを聞かない子供たちを連れて、魔法の城や妖精たち、ホワイト・プリンセスの待つあのステキなテーマパークへやってきたジム。夢と魔法の国での現実逃避を企てるジムがそこで目にするものは、黒いプリンセスが仕掛けるゆがんだ幻想ワールド。楽しいはずの家族旅行はたちまちにして、妄想と奇妙な出来事に溢れたシュールな悪夢へと変貌する...。夢が必ず叶うこの場所は、ジムの偉大なる妄想までをも叶えてしまうのだが...。

エスケイプ・フロム・トゥモロー」より

「おもしろかったのか?」と聞かれると、答えに困る映画だった。

ひとことで表現するなら「大人のおとぎ話」そんな映画だった。

「エスケイプ・フロム・トゥモロー」ミッキー

現実逃避して、いろんな妄想をするオッサンの話なので、観ていてどれが妄想で、どこまでが現実かよくわからなくなったりする。映画を観ているうちに、まるで悪夢を見ているような気分になってくる。

だから、これはこういうことだという正解や謎解きもなかったりするので、すべて観た人自身が答えを考えなければいけない。

「エスケイプ・フロム・トゥモロー」エプコット頭

実際、見終わった後で、あれは何? あれはどういう意味だったのだろう? と残ったままの謎もあったりする。それぞれ自分で、おそらくこういうことだったのかな? と理解しようとするが、理解できないこともあるし、理解したつもりでもそれが正解かどうかはわからない。

きっと観た人の多くは、あれは何だったのだろう? と、疑問を残したまま映画は終わったと思う。

「エスケイプ・フロム・トゥモロー」サラ

そもそも終わり方からして、謎だ。

気味の悪いエンディングを迎えるが、最後に映ったシーンを観て、多くの人は「?」と思っただろう。

僕もいろいろ考えた。どうとらえたらよいのか?

ジムの妄想が叶ったのだろうと、自分で納得することにしたが、それも正解かどうかわからない。

「エスケイプ・フロム・トゥモロー」フランスの妖精

これはこう。あれは何を意味している。と、すべてに答えを求める人は、スッキリしないことも多いかもしれない。

昔は映画を観に行くと必ずパンフレットを買っていたのだが、読み返すこともないパンフレットが何百冊もたまり、家の床が抜けそうになってきたので、20年くらい前から買わなくなった。しかし、今回は映画だけでは情報が足りなく感じたので、久しぶりにパンフレットを買ってしまった。

結局、パンフレットも全部読んだが、謎は残ったままだった。

「エスケイプ・フロム・トゥモロー」サラとジム

ディズニーランドは好きで、東京ディズニーランドはできてすぐに行ったし、アナハイムのディズニーランドにも行ったことがある。ディズニー・ハリウッド・スタジオやエプコットなど「エスケイプ・フロム・トゥモロー」の舞台となったオーランドのディズニーワールドにも行ったことがあるが、いずれも20年以上前の話になる。

だからアトラクション内はホンモノの音楽が流れているのか、映画用の音楽なのか、どれくらいホンモノに近い音楽なのかなど、細かいところはわからないが、それっぽい音楽が流れていた。

ディズニーランドで聞けば、楽しそうに聞こえるはずのブンチャカブンチャカした音楽や子供の歌声や笑い声。でも、それがジムの妄想を通して聞くと、とても邪悪に感じた。

ハッピーツリーフレンズ【Happy Tree Friends】」の音楽と同じイメージだ。

初めて聴いた時は、かわいい子供向けのアニメの音楽に聞こえるが、あのグロいアニメを観た後に聴くと、邪悪で不快に感じるあのイメージだ。

「エスケイプ・フロム・トゥモロー」エプコットにて

話題になっていた(?)ディズニーランドで隠し撮りについてだが、Canonのデジタル一眼レフカメラ「EOS 5D MarkII」やICレコーダーを使って撮影したそうだ。

てっきりディズニーランド内の隠し撮りだけで撮影したと勘違いしていたので、映画を観ている時、ここはどうやって撮ったんだろ? と思うシーンがあったり、誰もいないディズニーランドのシーンはいつ撮ったのか? と疑問に思った。

よく考えたら、別の場所で撮ったものや、セットを組んで撮影されたシーンもあるだろうし、CGで処理もしているのだろう。だから、観ていて隠し撮りっぽい感じはしないし、観た印象は普通の映画と変わらないだろう。

「エスケイプ・フロム・トゥモロー」ベンチでエミューの肉

ちなみに、オッサンの妄想の世界の話なので、出てくる女性がみんなエロく感じた。オッサンは違和感ないかもしれなけど、女性が観たら気になるかもしれない。

普段、オッサンがどのような視線で女性を見ているかがよくわかると思う。

「エスケイプ・フロム・トゥモロー」スプラッシュマウンテン

最後に、「おもしろかったのか?」と聞かれると、「おもしろかった」とは答えられないかもしれないけど、「観て損はない」とは答えられると思う。そんな映画だった。