「火星の人」はハラハラドキドキ、おもしろくて最後にジーン... そして、見て見て! おっぱい! ->( . Y . )

僕が2014年に読んだ小説の中で、おそらくベスト3に入るのではないかと思う。あと2ヵ月半でもっとおもしろい作品に出会えるかもしれないけど、とにかくオススメ。

火星の人(アンディ ウィアー/小野田和子)

「火星の人」(アンディ ウィアー/小野田和子)だ。

本を読んで夢中になりすぎて電車を乗り過ごしたのは、久しぶりだ。読んでいておもしろいし、読み終わった時、きっと読んでよかったと思うだろう。

どうする? ワトニー

NASAのアレス計画は、火星への有人飛行、そして有人着陸を行う計画で、過去にアレス1、アレス2と2回成功した。マーク・ワトニーは、6人いるアレス3のクルーの一人で、火星への着陸に成功した。

火星でのミッションは1ヵ月の予定だったが、6日目、強風によりNASAは中止命令を出す。MAV(火星上昇機)で撤退しようとする中、アンテナが倒れるトラブルが発生。アンテナの一本がワトニーのスペーススーツを貫いた。

スーツの酸素警報音で目を覚ましたワトニーは、奇跡的にスーツから酸素が漏れ出さなかったために一命を取り留めたことに気づく。しかし、目の前にMAV(火星上昇機)はなかった。死んだと判断されたワトニーを残して、残りのクルーは地球に帰っていった。

メインの衛星用パラボラは壊れ、第二、第三の通信システムはMAV(火星上昇機)と通信するだけのものなので、地球と火星を往復する宇宙船<ヘルメス>とも、地球とも、通信する手段はない。

ワトニーが亡くなった(と思われた)ためにアレス計画が中止にならなければ、約4年後にはアレス4が到着して、火星に人間が戻ってくる。しかし、アレス4が着陸するのは、ワトニーがいるアキダリア平原から3,200kmも離れた地点で、自力でたどりつく方法はない。もし連絡がとれれば救助にきてくれる可能性はあるが、4年後、アレス4のクルーとともにもどってきた<ヘルメス>との通信手段はない。

ワトニーは31日間だけもつように設計されたハブ(組み立て式の基地)のなかにいるが、もし酸素供給機が壊れたら窒息死。水再生機が壊れたら渇きで死ぬ。ハブに穴があいたら爆発する。そして残された食料は300日分。

助かる見込みのない絶体絶命の中、自分では何もできることがなく、ただただ死ぬ日が近づくのを火星で一人待つだけ・・・
どうする? ワトニー

読んで思ったこと

自分なら孤独で息苦しそうな場所で死ぬ日を何ヶ月も待つくらいなら、荷物の中に入っているモルヒネを打って、終わりにしてしまったかもしれない。

でも、ワトニーは違った。ワトニーは植物学者で、メカニカル・エンジニアだ。持っている知識を総動員して、そこにあるものだけでなんとかしようと、一つ一つ問題をクリアしていく。

はやぶさ、そうまでして君は 〜生みの親がはじめて明かすプロジェクト秘話」を読んだ時にも感じたが、知識はいかに大切か、そして、何よりもどんな危機が迫ってきても諦めない気持ちが大切ということがわかる。

一つ問題を解決すると、想定外の解決方法にまた別の問題が起こる。本当に次々と問題が起こる。普通の人なら最初の一つ、がんばっても二つ三つの問題で心が折れてしまうだろう。

読んでいてハラハラドキドキはするが、悲惨な気持ちにはあまりならないのは、ワトニーの持ち前のユーモアのおかげだろう。窮地に陥って困っているワトニーを励ますどころか、逆に読んでいる側が励まされる。

見て見て! おっぱい! ->( . Y . )
これを見た時はひっくり返りそうになった。ワトニーって天真爛漫でバカみたいだけど、本当は植物学者で、メカニカル・エンジニアで、NASAの宇宙飛行士。頭いいんだろなぁ・・・

一度読み始めると夢中になってしまい、あっという間に読んでしまった。
久しぶりに、読んでよかったと思う本だった。