「餃子の王将社長射殺事件」興味本位で読んでみたら、なかなか怖い世界だった...

「餃子の王将」は年に数回行くくらい好きなので、2013年12月19日に社長の大東隆行氏が射殺された時は、驚いたと同時に残念に感じました。 その後、1年以上経ちますが、未だに犯人は捕まっていません。

どうなっているのだ?
警察は何をやっているのだ?

というわけで、「餃子の王将社長射殺事件」(一橋 文哉)を読みました。

餃子の王将社長射殺事件(一橋 文哉)

至近距離から4発の銃弾全てを急所に命中させ、バイクで逃走するなど、事件当初からプロの犯行と言われていました。
「何があったのか?」と思ってしまいますが、「餃子の王将」から出てくるのは「トラブルは何もなかった」という言葉でした。

どうなっているのだ?

そもそも大東隆行氏とは、どんな人だったのでしょうか?
聞こえてくるのは、誰よりも早く出勤し、自ら清掃をしていたとか、そんな話くらいです。
殺されたのも、早朝に一人で出勤していた時でした。
これだけ聞いていると、いい人そうに聞こえてくるのですが、自分が部下だったら、ちょっと複雑かもしれません。

しかし、この本を読むと、研修合宿では長距離走やオリジナルの「王将体操」を延々とやらされたり、四人一組の「王将五訓」の暗唱や、一日数十kmを早足で歩く軍隊式行進訓練など、夜11時の消灯時間までびっしりとカリキュラムが組まれたスパルタ教育をされたりしていたようです。
怒号と悲鳴が飛び交い、狂ったように大声で叫んでいる姿は、カルト教団の洗脳シーンを彷彿とさせられたとか。

実際にその映像を観られないかと探してみると「YouTube」にアップされていました。

まぁ、これでは「ブラック企業」と言われてもしょうがないかなと思いました。
ただ、成績がよければ報奨金が出たり海外旅行に行けたり、合宿研修を終えた新入社員はハワイ研修があったり、キビシイだけではなかったようなので、従業員たちの大東社長評は好き嫌いが半々に分かれていたようです。

これだけを読むと「内部の犯行か?」とも思ってしまうかもしれませんが、「餃子の王将」にはもっと深い闇がありました。

創業者の長男であり、先代の3代目社長の加藤潔氏時代にできた470億もの借金を大東隆行氏はほとんど返し、さらに売上げを倍増させたわけですが、潔氏が残したのは借金だけではありませんでした。

大東氏は膨大な借金以外に、不良債権やその他の利権にまとわりつく闇社会の住人たちとも戦っていたようです。

「餃子の王将」の餃子

2012年12月「餃子の王将」金沢片町店で、6人のホストが全裸になって写真を撮り、インターネットで公開したことが話題になりました。当時、アイスクリームケースの中に入った写真をTwitterにアップする事件が相次いでいため、これも同様の事件と思われていましたが、違っていました。

ホストの勤めるショーパブが以前から出展計画を進めていた場所に「餃子の王将」が先に進出したため、怒った経営者らが押しかけてきて、大声を出して騒ぐなど、逆恨みから嫌がらせを繰り返していたそうです。

結局、金沢片町店は、この騒動がきっかけで、2013年9月に閉店してしまいます。

他の新店舗開業地でも、暴力団との対決が見られることがあったそうです。
また、食品・製菓業界は、取引業者や下請業者の中に、同和系団体が絡んでくるケースもあるようで、読んでいるだけでもきな臭く感じてきました。

2008年2月に3代目社長の潔氏の長男・貴司氏が息子(孫)を連れてエジプトで失踪する事件がありましたが、そのことについても書かれていました。気になっている人はぜひ読んでみてください。なかなか怖い世界です。

また「餃子の王将」は2005年に中国に進出し、大連に6店舗出店しましたが、2014年10月31日に中国からの撤退を発表しましたが、ここでも地元のマフィアとの問題があったようです。

犯人も捕まっていませんので、この本に書かれていることが真相かどうかはわかりません。ただ、大東氏は紙封筒などに数十万円ずつ小分けして、百数十万円の現金を持ち歩いていたそうなので、このようなことが起こることも想定していたのかもしれません。

「餃子の王将」側としては「トラブルは何もなかった」としか言いようがなかったのだとは思いますが、現実は大きく異なるようでした。