「イニシエーション・ラブ」と、ポピュラー・ハイライトと、ネタバレと・・・

「イニシエーション・ラブ」(乾 くるみ)を読みました。

イニシエーション・ラブ(乾 くるみ)

いや〜、わかりませんでした。
読み終わっても、意味がよくわかりませんでした。

僕がマユに出会ったのは、代打で呼ばれた合コンの席。やがて僕らは恋に落ちて...。
甘美で、ときにほろ苦い青春のひとときを瑞々しい筆致で描いた青春小説―と思いきや、最後から二行目(絶対に先に読まないで!)で、本書は全く違った物語に変貌する。
「必ず二回読みたくなる」と絶賛された傑作ミステリー。

Amazon.co.jp: イニシエーション・ラブ (文春文庫): 乾 くるみ: 本」より

最後から二行目を読んで、「え〜!?」となるはずなのですが、「ん・・・? どういうこと?」となってしまいました。

どういう意味がわかりませんでした。
しょうがないので、検索して調べました。

Kindleで読んだのですが、どうやら、文庫版にある解説がKindle版にはないようです。
いや、自分が理解できなかったから言うわけじゃないのですが、解説を読まなければ、意味がわからない小説ってどうよ? と思ってしまいました。

現代の話だと思って読んでいたら、25年くらい前の話でした。
合コンの後、ケータイの電話番号やメールアドレスではなく、家の電話番号を教えてもらう。いざ電話をかけることになった時、家の人が出たらどうしよう? と思いながら電話をかける。今と比べると、とても不便で時間の掛かる時代でした。でも、その分、連絡が取れるようになった時、今の時代の何倍も嬉しく感じたような気がします。

なぜあの時代を選んだのかよくわかりませんでしたが、同じ世代なので、読んでいてとても懐かしく感じました。
よかったと感じたのは、それくらいかなぁ?

ネタバレについて(ネタバレなし)

ちょっと文句を言いたいのは、上のAmazonの説明にもある「必ず二回読みたくなる」です。

いや、もうこう書かれたら、誰でも「叙述トリック」ってわかってしまうじゃないですか。

叙述トリック

小説という形式自体が持つ暗黙の前提や、偏見を利用したトリック。典型的な例としては、前提条件として記述される文章は、地の文や形式において無批判に鵜呑みにしてもいいという認識を逆手にとったものが多い。登場人物の話し方や名前で性別や年齢を誤認させる、作中作(劇中劇)を交える、無断で章ごと(時には段落ごと)の時系列を変えることで誤認させるなどがある。

トリック (推理小説) - Wikipedia」より

いや、叙述トリックってわかって読んでも、結局、意味がわからなかったから関係ないのですが・・・

過去に何度か叙述トリックの小説を読んだことがありますが、100%作者の思い通りにミスリードさせられています。だから叙述トリックってわかって読んでも、問題ないのですが・・・ 今回なんて、結局、意味がわからなかったくらいですし・・・

もう一つ、文句を言いたいのは、Kindleの「ポピュラー・ハイライト」機能です。

Kindleには、紙の本にペンでアンダーラインを引くように、後から読み返せるように本文中に印をつける「ハイライト」機能があります。

例えば、「●●●とは■■である」という部分が重要だと感じたら、その部分を範囲してしてハイライトすれば、記録されます。後で、ハイライトされた一覧の中から選ぶと、いつでもすぐにその部分に移動して読み返すことができるという便利な機能です。

「しおり」に近いのですが、「しおり」が例えば「128ページ」などページに対して目印が記録されるのにたいして、「ハイライト」はその中の「●●●とは■■である」など選択した部分に対して目印が記録されます。

で、Kindleを使っている複数の人が同じ場所にハイライトされる、つまり、多くの人が重要だと感じた部分は「ポピュラー・ハイライト」と呼ばれ、自分がハイライトしていなくても、わかるようになっています。

Kindleの「ポピュラー・ハイライト」機能

上の画像では「いちおう女の子の一人暮らし...」の部分に「23人がハイライト」と表示されています。つまり、23人がこの部分に「ハイライト」していることがわかります。

ビジネス書などでは、他の人がこの部分を重要だと思っているのか・・・など、読んでいるときに参考になるのですが、ミステリではこの機能をオフにしておいた方がよいと感じました。特に叙述トリックの場合は。

普通ならそのまま何も気にせず、読み飛ばしてしまいそうな、一見どうでもよさそうな所、何カ所に「●●人がハイライト」と表示され、何十人もの人が目印をつけていることがわかるのです。

結局、読んでいる間は何のことか、わからなかったから問題ないと言えば問題ないのですが、読んでいて「これ、何か重要な意味があるのか?」など詮索してしまうのです。

これからこの本をKindleで読もうと思っている人は、悪いことは言わないので、ポピュラーハイライトはオフにして読んだ方がよいと思います。

ポピュラー・ハイライト、公開メモの表示方法:

  1. 読書中に、画面上部をタップしてツールバーを表示します。
  2. メニューアイコンをタップし、設定をタップします。
  3. 読書オプション、メモ & この本についての順にタップします。
  4. ポピュラー・ハイライトまたは公開メモの横にあるオフをタップします。スイッチがオンに切り替わります。

本に戻ると、人気のあるハイライトが読書中に表示されるようになります。

Amazon.co.jp ヘルプ: ブックマーク、ハイライト、メモを使用する」より

その方が楽しめるはず。

ここから先はネタバレあり

「必ず二回読みたくなる」で叙述トリックだと思って読んでいました。

実はたっくんは女だとか・・・ 違うか・・・
たっくんは大学生の爺さんか、いや、子供? ではないか・・・
あれこれ詮索しながら読みましたが、あのオチには気づきませんでした。

ただ、読んでいて、前半のたっくんには共感できたし、嫌いじゃなかったのですが、後半のたっくんはイヤなヤツに感じて、どうも好きにはなれませんでした。
社会人になって性格が変わったのかな? くらいに思っていました。

また、前半でマユに無理矢理なあだ名をつけられるわけですが、あそこで何かおかしいと感じたけど、わかりませんでした。
このあたりでピンとこないと、なかなか気づくのは難しいですね。

そして、最後まで読んだ時
「ん・・・? どういうこと?」
「意味がわからん・・・」
「いつ、どこで入れ替わったの?」
となってしまいました。

インターネットで検索して、ようやくオチが理解できましたが、本文でもうちょっと丁寧にフォローできなかったのかなと思いました。

他の叙述トリックの小説を読み終わった時のような「あっ! そうか!」「やられた〜!」みたいなスッキリ爽快感がありませんでした。
意味が理解できても「なるほどねぇ・・・」みたいな感じで。

さて、この「イニシエーション・ラブ」ですが、映画化され、5月23日に公開されています。

小説とはエンディングが違うようですが、どうやって映像化しているのか、気になっています。