「この歯医者がヤバい」これから歯医者に行く人、治療中の人はぜひ読んで!

一昨年の年末から歯医者に通い始め、先日ようやくすべての歯の治療が終わりました。

大物が6本と小物が4本くらいで、全部で20万円以上かかりました。

虫歯の少ない人からすると「高〜〜〜っ!」と思われるかもしれませんし、歯にお金をかけている人だと「そんなものね」と思われるかもしれません。

大物すべてを保険の使えないセラミックを使って治療したため、このような金額になってしまいましたが、保険を使って銀で治療していれば、おそらく5万円もかかっていないと思います。

以前、銀の詰め物を入れたことがあるのですが、金属のスプーンやフォークを口の中に入れるたびに、アルミホイルを噛んだ時に感じるあのイヤな味?を感じ、すぐにはずして金に詰め直したことがあったため、今回も銀を使いませんでした。

今回、歯を治療するきっかけとなったのが、歯が一部が小さく欠けたことでした。職場が変わったことにより、以前通っていた歯医者が不便になったため、新しい職場近くの歯医者に行きました。初めて行った時、レントゲンを撮ると、他にも5本くらい虫歯があると言われました。

自覚症状はなかったのですが、以前通っていた歯医者で治療した歯に虫歯が出来ていると言われました。
ヒドい話です。すべて5万円近く払って金を詰めていたのですが、その金の下に虫歯ができてるって。 「前の歯医者の治療が悪かったってこと?」納得できませんでしたが、2本治しました。10万円ほどかかりました・・・

痛みも何も感じないのに、10万円です。
やってられんわ・・・
と、4本くらい虫歯を残したまま、歯医者に行くのを辞めました。

数ヶ月後・・・
弱〜いけど、冷たいものが、なんとなくしみるような・・・
いや、気のせいか・・・
と、気づかないふりをしようと思っていましたが、気のせいではありませんでした。
あかん、これは虫歯やないか!

先生、ごめんなさい。
というわけで、去年の年末あたりから、治療を再開し、すべて治しました。

先生には大変感謝しているのですが、ただ前々から、ずっと気になっていたことがありました。

これだけ医学が発達した21世紀の現在でも、僕が子供の頃の昭和の時代から、なぜ歯の治療法は変わっとらんのだ?
なぜこれだけ痛いのだ?
結局、削って詰めるしか、やりようがないのか?
ホンマはもっと痛くない方法があって、歯医者同士の治療の時だけ、その方法で治療してるのではないか?

そんなことを考えていた時、本屋で「この歯医者がヤバい」(斎藤 正人)を見かけました。

この歯医者がヤバい(斎藤 正人)

無事、歯の治療もすべて終わったこともあり、今回読みました。

著者の斎藤正人氏は、渋谷で23年間、歯科医院を開業している歯医者で、「歯を抜かない歯医者」を売りにしていて、他の歯科医院で手間の掛かる歯の保存治療を断られたり、患部が悪化した患者さんが全国から来る「最後の駆け込み寺」のようになっているそうです。

歯医者同士の歯の治療の時だけ使っている秘伝の痛くない治療について書かれた本ではなく、いかに歯を抜かない治療が大切か、インプラントは危険よ、といった話の本でした。

知られざる歯医者の実態

どこまで信じてよいのかわかりませんが、いろいろヒドい歯医者についても書かれていました。
中には、気づいているのに歯周病を放っておいて、ひどくなってから抜いて入れ歯をすすめる歯医者や、闇の売人が売り歩く中国製のアブナイ激安密輸インプラントを使う歯医者もいるとか。ホンマかいな?

そもそも歯医者は高給のイメージですが、それはもはや過去の話で、いまや診療所の6%は赤字経営だそうです。勤務医はそれほど給料がよくないみたいな話を聞いたことがありますが、開業医も昔ほどよくはなく、月収50万円を下回る開業医も増えているそうで、数年前の調査では、歯科医の5人に1人は年収300万円以下だそうです。ホンマかいな?

その理由が、少子化と虫歯患者が減ったということです。
逆に歯医者は増えつづけて、2010年には歯医者の数は10万人を突破し、歯科診療所数は6万8000で、いまやコンビニの店舗数5万よりも多いそうです。考えてみると、職場の近くに何軒も歯医者があります。確かにコンビニより多いかもしれません。

僕が知らないだけで、歯医者は儲からないという認識は広がっていて、歯学部の受験生は激減しているそうです。そのため、受験生の多くが国公立大学や、私立でも入試偏差値上位の東京歯科大学、日本歯科大学などに集まり、定員割れで受験生全員が入れる私学が多いそうな。つまり、高額の寄付金、入学金、授業料を払えるお金があれば、入れてしまうということになります。

そんな歯学部のヒドいエピソードがいくつも載っていますが、どれもホンマかいな? みたいな話ばかりでした。こういう人たちが卒業して、そこら中で歯医者になっていると思うと、大丈夫かな? と思ってしまいました。

ここがヘンだよ 日本の歯科保険制度

上に挙げた「虫歯患者の減少と歯科医療市場の縮小」「歯医者の増加による熾烈な競争」も歯科医療荒廃の原因になっているのですが、最大の元凶は「低く据え置かれ、歯科医療の現実に会わない歯科保険制度」にあるそうです。

日本の歯科保険制度はおかしく、きちんとした治療をすればするほど歯科医の儲けが減っていくそうです。歯の内部(歯内)を治療するのは、抜歯より時間と手間がかかるそうなのですが、保険点数は抜歯の方が高いそうです。だから、歯内を治療するのは割に合わないと思い、当然のように抜歯をすすめると。

多くの歯医者が患者の数をこなすために手を抜き、診療時間を短くしようとする。あるいは逆に、不必要な治療を行って保険点数を高めるような過剰診療を行う。また、自由治療で行われるインプラント治療は平均40万円。1日に保険診療患者を20人診察するより、40万円のインプラントをひとり施術した方が断然効率がいい。そうなると「手間がかかるだけで儲からない保険診察なんかやってられない」と思う歯医者も少なくないだろうなと思ってしまいました。

本当は怖いインプラント

このようなわけで、すぐにインプラントを勧める歯医者が多いけど、インプラントは危険だという話になります。ちなみに、インプラントは「顎の骨にドリルで穴を開け、チタン製の棒をそこにねじ込み、棒の上に人工の歯をかぶせる」という人工歯根の技術です。インターネットで検索してもらうと、こんなにインプラントは良いというメリットはいっぱい紹介されています。

インプラントは未だ発展途上の治療技術。人体への影響を長時間追跡調査した医学的データもないインプラント治療が安全と言い切れるのだろうか。と言うのが斎藤氏の考えですが、僕にはインプラントに関する知識がないため、それが正しいのかはわかりません。ただ、わかります。レーシックも気になっているのですが、本当に大丈夫なのか? と考えてしまって、受けることができません。インプラントもまだ怖いです。

どうして斎藤氏がインプラント手術について否定的なのか気になる方は、この本を読んでください。いろいろ理由が載っています。

インプラント治療はトラブルが多いらしく、その原因はちょっとビックリでした。

半日かそこいらの"講習会"に顔を出して、インプラント技術習得の証書をもらって患者に施術を行う「インプラント医」がいるという話です。こんな歯医者の実験台にされるのは勘弁してもらいたいです。「●●●●人に施術」みたいなことを参考にするしかないと思ったのですが、その数字も自称なので当てにならないと書かれているので、どこで判断してよいものやらといった感じです。

また、インプラント治療には標準的な治療法が確立されておらず、技術のレベルもさまざまというのも、ホンマかいな? と思ってしまいました。

ただ、インプラントブームは終わりつつあるようです。
2007年、東京・八重洲のI歯科で起きたインプラント死亡事故がきっかけで、日本のインプラント出荷本数は2008年の60万本をピークに減りはじめ、2012年にはピーク時の3分の2、約40万本まで減っているそうです。

斎藤氏の主張は一貫していて「歯を抜くな」です。

歯は単なる咀嚼器官ではなく、健康や生体メカニズムに大きな影響を持つ臓器である。その大切な臓器である歯を失わないためにも、毎日の丁寧なブラッシングが大事だ。楽しい食事も自分の歯があってこそ。私たちは歯を他の臓器に比べて軽視しがちだが、かけがえのない大事な存在であることをもう一度再認識してほしい。

また、このようにも書かれていました。

歯を失うことで、人の体にはさまざまな悪い影響が現れます。審美のために削ったり元気な歯を抜いたりするなどは論外。歯を失うと、野生の動物はやがて死んでいきます。そのぐらい大事な歯を、金儲け主義の歯医者の言葉に誘導されてかんたんに抜いてはいけません。

この本を読んでインプラントや歯医者の現状についてはよくわかりましたが、気になるのは「では、よい歯医者とよくない歯医者、どうやって見分ければよいのか?」ではないでしょうか?

ちゃんと載っています。

良い歯医者! 悪い歯医者! 普通の歯医者!

良い歯医者を見分ける10のポイント

  1. 患者の話を丁寧に聞き、悩みを聞き出してくれる
  2. 悩みの原因を的確に判断できる
  3. 現状をわかりやすく説明し、どんな質問にも答えてくれる
  4. 治療内容を十分説明し、患者の経済状態に合わせた治療を提案してくれる
  5. 患者の同意を確認してくれる(インフォームド・コンセントを守る)
  6. 自分の専門外のときは他の歯医者を紹介してくれる
  7. 強引な治療をしない
  8. 治療が上手で痛くない
  9. 他の歯医者で受けた治療も、自分が行った治療も快くやり直してくれる
  10. 予防・歯磨きを強調する

それぞれ、詳しく理由も書かれていますが、こんな感じです。
ただ、いずれも何度か治療に通わないとわからないですね。

行ってはいけない歯科医院

  1. インフォームド・コンセント(説明と同意)をせずに治療する歯医者
  2. すぐ抜歯をすすめる歯医者
  3. 「もう手遅れです」と言う歯医者
  4. 「親知らずは抜きましょう」と言う歯医者
  5. 「治療がむずかしく、経費がかかりますよ」と言う歯医者
  6. レントゲン写真を見せずに「抜きましょう」と言う歯医者
  7. 夜の8時過ぎまでやっている医院
  8. 衛生士が診て、ドクターが毎回治療しない医院
  9. 毎回担当ドクターが変わり、アルバイトの医師が診る医院

「行ってはいけない歯科医院」は、お笑いの「こんな歯医者はイヤだ」みたいなネタみたいに感じるかもしれませんが、以前通っていた歯医者がこんな感じだったので、ぜんぜん笑えませんでした。
その歯医者で「いずれ虫歯の原因になるので、親知らずは抜いた方がよいです」と言われ、何の問題もなかった親知らずを3本抜かれました。今思うと、よかったのは、受付のお姉さんが綺麗なのと、(毎回担当ドクターが変わるので)たまにSッ気のある女医さんに担当してもらえるくらいで、他はぜんぜん良いところがありませんでした。

歯磨き粉は味で選べ!

最後にちょっと驚いた話を紹介します。
「『歯磨き粉』は不要と言う歯医者さんもいますが、本当ですか?」という質問に対する回答です。

専門的に言えば不要です。メーカーは売るために、あの手この手で目新しい歯磨き粉や練チューブを売り出しています。
「フッ素入り」「歯周病予防になる」「虫歯菌を殺す」「口中を殺菌」「ミント入り」などなど効用を謳っていますが、効果はあくまで「気休め程度」。歯磨き粉で虫歯や歯周病をストップすることはできません。
歯磨き粉をつけても雑な歯磨きなら意味がなく、大事なことは丁寧に歯間の汚れを取り除き、歯に着いた食べかすを落として、口の中をきれいにすることです。

歯磨き粉を買うときは毎回、効能や成分をよく読んで選んでいたのに、「気休め程度」だったのか・・・
しかも「歯磨き粉で虫歯や歯周病をストップすることはできません」って、そうなの?
今度から味で選ぶことにします。

というわけで、これから歯医者に行く人、現在治療中の人はぜひ読んでみてください。これから通おうとしている歯医者さんや、通っている歯医者さんが本当によい歯医者さんかどうか、知っておいた方がよいと思います。
抜いてしまった歯は元に戻りません。後悔しないように、先にこの本を読んでおきましょう。