「下流老人と幸福老人 資産がなくても幸福な人 資産があっても不幸な人」お金がなくても幸せになれるのか?

この本、僕のために書かれた本じゃなかろうか?「隠れ貧困 中流以上でも破綻する危ない家計」」で老後に不安を感じたので、今回は「下流老人と幸福老人 資産がなくても幸福な人 資産があっても不幸な人」(三浦 展)を読みました。

下流老人と幸福老人 資産がなくても幸福な人 資産があっても不幸な人(三浦 展)

この本では、高齢者の下流化の状況を分析するとともに、お金はないけど幸福な老人について書かれています。これをヒントに老後について考えてみようと思いました。

この本、いろんなアンケート結果を元に解説されているのですが、その結果が全体のページの1/2とまではいかないかもしれませんが、1/3くらいがそのグラフにさかれているのです。

「下流老人と幸福老人 資産がなくても幸福な人 資産があっても不幸な人」のグラフ

こういうデータがなければ、すぐに「ソースを出せ!」と言われる昨今なので、必要なんだとは思いますが、読んでいてテンポが悪くなるように感じました。

文章中に書かれていればそれで十分で、グラフまでは必要ないかな? と。

そして、気になったのは、アンケート結果の多くが「そりゃそうだろ」とか「なるほどね」くらいに感じることでした。読まなくても想像できる回答が多いというか、意外性のある結果があまりないのです。

そんな中からゲンナリしたことをいくつかご紹介。

資産形成は年齢に比例します。しかし、多額の不動産収入や有価証券などを持つ一部の富裕層を除くと、70代、80代になってから資産が増えることはないと言えます。となると、60代で資産格差はだいたい固定することになります。60代まで、あと何年あるのかな・・・?

1人暮らし(既婚以外)の男女シニアについて、現在交際している異性がいるか・いないか別に幸福度を集計してみた結果。女性は、交際している異性がいる人で幸せな人は68%ですが、交際している異性がいない人でも58%で、それほど大きく幸福度は変わらないようです。
それに対して男性は、交際している異性がいる人は58%が幸せですが、交際している異性がいない人で幸せな人は32%だそうです。つまり、男性はシニアになっても異性とつきあっていないと途端に幸福度が下がるという。歳をとったら、異性とかどうでもよくなると思っていたのですが、そうでもなさそうです。

金融資産別・幸福度別に友人と余暇を楽しむかを見ると、資産の多い少ないにかかわらず、幸せな人ほど友人と余暇を楽しむ機会が多いそうです。逆に「幸せではない」人で友人と余暇を楽しむ人は資産の大小にかかわらず2割弱しかないようです。
これは「明日は我が身「下流老人 一億総老後崩壊の衝撃」」で紹介した「下流老人」(藤田 孝典)にも載っていましたが、「お金があって友人がいないよりも、お金がなくても友人といるほうが幸福度が増す」ということのようです。寂しい老後を過ごしたくなければ、今の交友関係も大切にした方がよさそうです。

「金持ちになり、高級品を持ちたい」人の割合は、全体では19%だが、「幸せでない」人では29%。また、金融資産500万円未満でかつ「幸せではない」人では35%いるそうです。このデータから次のように書かれていました。

資産が形成できずに不幸だと思っている人は、年をとってもまだお金や高級品に執着している人なのだ。だから、お金も高級品も持てなかった今の自分を不幸だと思い、かつ、まだこれからでもお金が欲しいと思っているのである。

もちろん貪欲な人もいるとは思うけど、今、買いたい物も買えず、苦労している人が多いので「できればそういう苦労はしたくない」と思っている人が多いのではないかと思いました。

それにしても、下流で金持ちになって高級品を持ちたいという人は、いったいどんな物が欲しいのだろう?

こういうのを読むと、下流で高級品を欲しいと思ったらダメなのか? と思ってしまいます。

結局、不幸な人はお金が欲しい人なんです。お金があれば幸せになるという価値観で凝り固まっている人が不幸なんですね。

お金があれば「お金なんてなくてもいい」「他にも大切な物がある」と言えるかもしれないけど、お金がなかったらもっと切実で、やっぱり「お金があった方がいい」と思っても不思議ではないと思いました。

読み終わって「お金がなくても幸せになれる」みたいに考えるようになるかと思ったのですが、ちょっと違いました。当たり前だけど「お金はあるにこしたことはない」と、あらためて感じました。

そんなわけで、今のうちにがんばって貯めておこうと思った次第です。