この手の本の中で一番心に響いた「ぼくたちに、もうモノは必要ない。 - 断捨離からミニマリストへ -」

「断捨離」という言葉を耳にするようになってから、ずいぶん経ちます。ちょっと大きな本屋に行くと、近藤麻理恵の「人生がときめく片づけの魔法」など、片付ける方法、捨てる方法について書かれた本で占められたコーナーがあります。 一体、何冊あるねん? 同じような本、こんなにいらんやろ? これこそ(以下略)と思ってしまうほどです。

かく言う僕の家も、モノが溢れています。 原因はハッキリしていて「モノを集めたい」「モノを捨てたくない」からで、「部屋をスッキリさせたい」よりも、それらの欲望の方が勝っているためです。

でも、部屋も片づけたいという気持ちもないわけではなく、たまに整理術みたいな本も読んだりしています。

今回、読んだのは「ぼくたちに、もうモノは必要ない。 - 断捨離からミニマリストへ -」(佐々木 典士)です。

ぼくたちに、もうモノは必要ない。 - 断捨離からミニマリストへ -(佐々木 典士)

本屋で手に取った時、衝撃を受けました。

何がスゴいって、最初に載ってる写真です。

ミニマリストになる前の部屋となった後の部屋

これ、著者の部屋の写真です。

スッキリ!

これはスゴい! と思ってページをめくっていくと・・・

ミニマリストの気持ち悪い部屋

ん? モデルハウス?

えっ! この部屋で暮らしているのか!

おかしいやろ・・・

ここまではマネしたくないミニマリストの部屋

部屋の真ん中に布団だけ?
刑務所かよ!

えっ! 服もこれだけ?
絶対イヤ!

最初の写真はスゴい! と思ったけど、全体的にどれもやりすぎで、真似をしたいと思うような部屋ではありませんでした。

でも、これだけできるってことは、何か得られるものもあるだろうと思い、読んでみることにしました。

「ミニマリスト」とは何なのか? から始まるわけですが、正直、読んでいて、ちょっと気持ち悪く感じました。「ミニマリストになって、こんなによくなりました」みたいな話を読んでいると、なんか宗教っぽいというか、自分で「よくなった」「幸せになった」と無理して思い込もうとしているみたいに感じるのです。

だから、そのあたりの話は適当に読んで、モノを減らすための具体的なテクニックを参考にしました。ルール形式で紹介されていますので、参考になったものや、気になったものなどをいくつか紹介したいと思います。

モノを減らすための心構え、テクニック

rule10「複数あるモノは捨てる」
これはすぐにマネできそうです。
ハサミを3つ持っているなら、いきなり1つに絞らなくてもいいので、まずは3つの中から1つを捨てる。選び方は簡単で、お気に入りでないモノ、使ってないモノ、機能が劣っているモノを捨てる。そして、最終的には1つにしていこう。

rule11「1年使わなかったモノは捨てる」
1年使わなかったモノは今後も使わない可能性が高い。みたいなことはいろんな本で書かれていますが、おもしろいと思ったのがホコリの話。
「ホコリは何度払っても溜まっていく嫌なものでもあるが、捨てるべきモノを教えてくれるサインでもある。ホコリが溜まっているモノは、必ず使っていない。」確かに。

rule27「代理オークションを利用して、すぐに手放す」
ここでは「Quick Do(クイックドゥ)」という代理オークションサービスが紹介されていましたが、こんなサービスがあることを知りませんでした。
オークションで処分したいと思うものはいくつもあるのですが、出品したり、送ったり、やり取りしたりが面倒とうか、そんな時間がなく、置いたままになっているものがいくつかあるので、試してみようと思います。

rule43「ゼロから始めるなら? 盗まれたら? 引っ越すとしたら?」
ここでは「365日のシンプルライフ」というドキュメンタリー映画が紹介されていました。
「主人公の青年は、ある日すべての荷物を貸倉庫に預け、そこから1日1つのモノを取りだせるというルールを作る。初日は、本当に何も持っていないので、大事なところを新聞紙で隠しただけの姿で倉庫までの道を疾走する。初日はコート1着を倉庫から取り出し、硬い床に寝る。」
どうやってモノを捨てるか? というテクニックだけでなく、このような関連情報もこの本には載っています。このあたり、いいですね。この映画も観てみようと思います。

rule23「捨てるときに「クリエイティブ」にならない」
「モノを捨てようとするときに、人は驚くほどのアイデアマンになる」「日常ではありえないほど、クリエイティブになってしまう」そうですが・・・
「待てよ、この一見使えなさそうなクッキーの空き缶。これを薬箱として再利用してみたらどうだろう?」「さすがに、この使い込んだトートバッグは手放そう、明日捨てよう。......違う。このトートバッグに、紙袋を収納するという手がある!」「素敵だけど、使ってない、この香水瓶は捨てよう。......なんか降りてきた!(いつか時間ができたら)東急ハンズで配線を買って、この瓶を素敵な照明に生まれ変わらせよう!」そんなヤツ、おらんやろ?

さらに捨てたいミニマリスト向け

ここから先に紹介するのは、さらに捨てたいミニマリスト向け追加リストと、ミニマリストが陥りやすい「捨てたい病」の処方箋に載っていたのですが、かなり上級者向けで、我々初心者にはマネができないし、ちょっと理解しがたい話になっています。

rule07「心がときめくモノも、捨てる!」
「ミニマリストを志そうとするなら、心がときめくモノも捨てなければならないときが必ず来る。」
ファ? なんで、そこまで捨てる?
そこに書かれていたエピソードを読んでも、よくわかりませんでした。クロアチアで買った十字架は捨てたときも心がときめくモノだったそうですが、それを手放したおかげで、それ以降、旅行に行ってもお土産探しに時間を取られることはなくなったそうです。
???

rule13「捨てたい病も、持ちたい病も同じ病」
「モノを「減らす」ことも「持つ」のも刺激があり、快感がある。だから「減らす」ことに「持つ」ことと同じように依存したり。執着してはならない。」
モノを「持つこと」と「減らすこと」は表裏一体のようで、行き着くところまで行き着くと、今僕らが「これは本当に必要なモノだろうか?」と考えて捨てるように、「これは本当に捨てるべきモノだろうか? 減らす目的のためだけに、減らそうとしていないだろうか?」みたいな境地にいくようです。
ホンマか?

スピリチュアル的な何か・・・

ここまでだったら、ちょっと行き過ぎてる感はあるけど、あまり気にせずサラッと読めたのですが、じわじわとその壁を越えていきます。

ミニマリストになって、超内向的な自分が変わったという話で、「人目を気にしてばかりいて、何も挑戦できてなかったぼくが行動したこと」として書かれていたのが次の12のリストです。

  • 初めてダイビングに挑戦した
    (勉強してから始めよう、と思い早数年経過していた)
  • 坐禅を習慣にした
    (小池龍之介さんの坐禅セッションに緊張しながら参加した)
  • ジムのヨガプログラムに参加した
    (身体が硬いので、笑われるのでは? と恐れていた)
  • 会いたいと思った人に連絡して会えるようになった
    (有名人でも誰でもあってくれる)
  • 全国で開催されているミニマリストオフ会に参加した
    (いつも本当に楽しい)
  • ミニマリストオフ会を自分でも企画した
    (人見知りだったぼくが、よくもまぁ......)
  • ネットを通して出会った人と、友人になれた
    (全国各地に会いにいける友人ができた)
  • ウェブサイトを立ち上げた
    (以前は自己発信するような人間はクソだと思っていた)
  • Twitterを始めた
    (以前は、Twitterなんかやる人間は......<以下略>)
  • 10年住んだ部屋からついに引っ越した
    (30分かかったが、次は20分かからないと思う)
  • 無理めの好きな女の子に思いを伝え、付き合えた
    (以前の自分なら絶対できなかった)
  • 何より、1冊の本を書いた
    (以前のぼくならこう言った。やめとけ、恥をかくぞ!)

「へぇ〜、変われば変わるもんだね〜」みたいに思えればいいのですが、僕にはこれらのリストが宗教や、マルチビジネスにハマった人が目をキラキラさせながら話していることと同じように見えてしまいました。

最初は不安だったけど、みんないい人ばかりでいきなり仲良くなれただの、それまで知り合う機会のなかったような立場の人や業種の人とも友達になれただの、ぜんぜん関係ないようなことができるようになっただの、あの気持ち悪い感覚に近いのです。

「瞑想・坐禅・ヨガ 自分の内側に集中する」には、このように書かれていました。
「ミニマリストには、瞑想や坐禅、ヨガを習慣にしている人が多い。考えてとこれはごく自然なことでもある。モノを減らすと、自分の意識は「外側」にあるモノで煩わされることが少なくなる。すると意識は自分の「内側」に自然と向かう。」
たかが家を片づけて、モノを捨てただけなのに、なんなんだ、これは? 何か悟った?

「ミニマリズムを意識するようになってから、ぼくはいつもぼんやりしていた頭にかかっていた『もや』が少しずつ晴れていくのを感じている。」
何か開眼してるし・・・

最後に

片づけやモノを捨てる本を何冊か読みましたが、読むだけで終わってしまう本が多いのです。

それは、著者が元々モノを捨てられる人だと「この人は元々モノが捨てられる人だから・・・」「自分はモノを捨てられない人だから・・・」と思って、逃げてしまうわけです。

でも、この本の著者の佐々木氏は違います。元々は僕たちと同じモノに溢れた生活をしていた「こちら側」の人間なのです。それが「あちら側」にいけたのです。

つまり、努力次第で、考え方次第で、「こちら側」から「あちら側」へ行くことができるということなのです。

そういった意味で、今まで読んだ本の中で一番心に響きました。

なんだかゴッソリ捨てられそうな気がしてきました。