小説「シャイニング」と、映画「シャイニング」は別モノだった

いろんなジャンルの映画を観ますが、実はホラー映画はあまり観ません。
理由は簡単で、ホラー映画が怖いからです。怖いことは苦手なのです。

とは言うものの、不朽の名作と言われるような作品は観ておきたい。
でも、観るのは怖い・・・

そこで、あらかじめ原作を読んでおき、ネタバレ状態で観ることにしました。こうすると、怖さも半減するはず。たぶん。

というわけで、「シャイニング」(スティーヴン・キング)を読みました。

シャイニング(スティーヴン・キング)

想像していた話とぜんぜん違いました。
ホテルに住み着いた怨霊?が襲ってきたり、ジャック・ニコルソン演じる父親ジャック・トランスが家族を襲ったりする話だと思っていました。
確かにその通りなんですが、霊はあまり怖くありません。

どちらかというと、ジャックが徐々に霊に犯されて、狂気を帯びていく。それがこわく感じる話でした。

これなら、映画「シャイニング」も観られるかも?
と思い、意を決して観てみました。

原作を読んでストーリーに関しては予習済みなので、それなりにハラハラドキドキはしましたが、それほど怖くなく安心して観ることができました。
ホラー映画の見方としてはちょっと間違っているような気がしないでもないけど、怖いのがダメなので、これでOKなのです。

この映画だけ観てると、「どうしてあぁなったの?」「あれはどういう意味?」と、よくわからないところがあったんじゃないかと思いました。それくらい原作から端折って作られています。わかりやすく言うと、6時間の話を2時間のダイジェスト版で観たように感じました。

この印象はあながち間違っていなくて、映画が終わってから調べてみると、146分、143分、119分の3つのバージョンが存在するようです。今回観たのは一番短い119分です。146分はプレミア上映会で公開されたものなので今から観るのは難しいと思いますが、海外では143分が販売されているようです。そっちを観たかったなぁ・・・

原作だと、ホテルで働くまでの話や、奥さんにちょっとしたことでイラッとして、それがちょっとずつ積み重なったいくところや、徐々にホテルに取り憑かれていく過程がじっくり描かれているのですが、映画ではそこまで時間を使えないので、いきなりおかしくなったみたいになってしまっているのが、ちょっと残念でした。

映画では、ジャックがホテルに取り憑かれて襲ってくるシーンは、半分くらいの時間がつかわれていました。ところが原作は、文庫版の上下巻をあわせると800ページを超えるボリュームなのですが、ジャックが襲ってくるのは下巻の終わりに近くになってからです。つまり、映画はジャックが狂ってからの恐怖が見せ場で、小説はジャックが狂うまでの過程が見せ場となっています。

なので、小説と同じものを期待して映画を観ると、そのあたりがほとんど描かれていないので、別の作品を観たような気分になってしまいます。ひょっとしたら映画が好きな人が原作を読むと、前置きがダラダラ長すぎると感じるかもしれません。それぞれ見せ場が違う、ぜんぜん別モノの作品となっていました。

関係ないけど、ホテルの内装やカーペットなど、映像が綺麗に感じました。36年も前の映画には思えないほど。

観終わってみると、もっと早くに観ておけばよかったなと思いました。