小説は事実よりも奇なり? グリコ・森永事件の真相に迫る「罪の声」

今から30年以上前、1984年の江崎グリコ社長を誘拐事件から始まった一連の事件、グリコ・森永事件は今でも鮮明に覚えています。

毎日のようにニュースで報道される事件は、まるで小説か、テレビドラマを見ているようでした。

あのグリコ・森永事件をテーマにした小説があると知り、「罪の声」(塩田 武士)を読みました。

罪の声(塩田 武士)

「これは、自分の声だ」
京都でテーラーを営む曽根俊也は、ある日父の遺品の中からカセットテープと黒革のノートを見つける。ノートには英文に混じって製菓メーカーの「ギンガ」と「萬堂」の文字。テープを再生すると、自分の幼いころの声が聞こえてくる。それは、31年前に発生して未解決のままの「ギン萬事件」で恐喝に使われた録音テープの音声とまったく同じものだった――。

罪の声 | 塩田 武士 |本 | 通販 | Amazon」より

Amazonの商品説明にも「グリコ・森永事件をフィクションで推理する」と書かれている通り、フィクションです。企業名グリコ・森永がギンガ・萬堂になっていますが、脅迫文などはそのまんま「グリコ・森永事件」通りです。

最初はかなり興味を持って読んでいたのですが、すでに時効が成立している過去の事件ですし、登場人物もかなり多く、中盤はダレてしまっていました。

終盤に近づくと、ギンガ・萬堂事件の全貌が見えてくると、想像以上に複雑に入り組んだ真相に驚きました。

「事実は小説よりも奇なり」なんて言いますが、実際はもっと単純な動機で、シンプルな犯罪かもしれません。

それくらいこの「罪の声」は、それぞれが複雑で、よくこんなストーリーが考えられるものだと感心しました。

すべてが解き明かされた時、そういうことだったのか! と多くの人が感じるのではないでしょうか。

ただ、ちょっと悲しい。悲しすぎます。ホンモノの「グリコ・森永事件」はこんなことなければよいのだけど・・・と思いました。

とてもおもしろいので、ぜひ読んでみてください。