「2012年12月」に書かれた記事

点と線」(松本 清張)を読んだ。

点と線(松本 清張)

1957年2月号から1958年1月まで雑誌『旅』に連載されていたというので、50年以上前に書かれたことになる。

読んでいて時の移り変わりを感じさせるのは、やはり移動だろう。
飛行機を使えば数時間で移動できる距離を当時は鉄道を使って移動している。その鉄道も現在の倍近い時間がかかっている。

時刻表で守られた容疑者のアリバイを崩していくわけだが、あれ? この時代って、まだ飛行機はなかったのか・・・と思いながら読んでいたら、後半になってようやく刑事が気づく「飛行機か!」
えっ!? 今ごろ気づく?
この頃から不安になってくる。

最近の推理小説に登場する刑事と違って、のんびりしてるというか、もっと早く気づけよ!とツッコミたくなる。

移動の次に時代を感じたのは通信だろう。
電報で地方とやり取りするわけだが、届くのに時間がかかる上に、昔のケータイのショートメッセージのようにカタカナだけの短文だ。
そうか、当時はまだ電話がなかったのか・・・と思いながら読んでいると、ん? 電話をしている。
当時は相手との距離によって電話と電報を使い分けてたのか?
よくわからんが、のんびりしていた時代だ。

小説自体の情報量も少なく感じた。
最近の小説と比べると、細かい描写などが少ないのか、あっという間に読み終わった。最近の小説は冗長すぎると思う人もいるかもしれないが、ちょっと物足りなく感じた。

驚いたのは裏表紙に書かれた説明だ。

九州博多付近の海岸で発生した、一見完璧に近い動機づけを持つ心中事件の裏にひそむ恐るべき奸計。汚職事件にからんだ複雑な背景と、殺害時刻に容疑者は北海道にいたという鉄壁のアリバイの前に立ちすくむ捜査陣......。
列車時刻表を駆使した、リアリスティックな状況設定により、推理小説界に"社会派ミステリー"の新風を吹き込み、空前の推理小説ブームをまきおこした秀作。

社会派ミステリー? これが???
確かに怨恨による犯罪ではないし、動機に仕事が関係しているけど、今の感覚で言えば、とても社会派なイメージはなかった。

また捜査の進め方も気になった。
福岡署の刑事から自分の思ったことを突き進めというようなアドバイスをもらったことが影響しているとしても、あまりにも早い段階から自分の勘だけに頼った捜査というのが気になった。

もっといろんな本を読む前に読んでおいた方が楽しめたかもしれないと思った。

最後にちょっといいなと感じたのは、この頃の若い男女の会話だ。
喫茶店で待ち合わせに遅れてきた青年と若い女性の会話。
「ずいぶん、待った?」
「そう、四十分ぐらい。コーヒーだけでは間がもてなくて、紅茶をいただいたわ」
「すみませんでした。バスが来なくてね」
「バスのせいになさるんでしたら仕方がありませんわ。もうはじまっていますわよ。さあ、大急ぎでコーヒーを召しあがれ」
今、こんな話し方ができるのって、上品なお年寄りくらいかな?

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