これはダイレクトマーケティングの教科書だ「先頭集団のダイレクトマーケティング」

仕事でダイレクトマーケティングに携わっているのですが、これでいいのか?と考えることも少なくありません。 そんなわけで、一度初心に返って勉強し直そうと思い、「先頭集団のダイレクトマーケティング」(電通 ダイレクト・プロジェクト)を読みました。

先頭集団のダイレクトマーケティング(電通 ダイレクト・プロジェクト)

「ダイレクトマーケティング=通信販売」と思われることが多いのか、通信販売の方が売れるのか、よくわかりませんが、本屋のダイレクトマーケティングの棚を覗くと、通信販売の本が多く、ダイレクトマーケティングについて書かれた本って少ないですね。

もちろんダイレクトマーケティングと通信販売とは切り離せないので、この本も「通販ビジネスの現場」「通販ビジネスにとってのブランディング」など、通販についても大きく取り上げられています。
ただ、ここで語られているのは、仕入れた時計を楽天市場に出店して売るタイプの通販じゃなくて、開発した美容クリームを広告で売るタイプの通販です。

この本を一言で表すと、「ダイレクトマーケティングの教科書」かな?
「ダイレクトマーケティングってなんだ?」って人は、とりあえずこの本一冊読むと、基本的なことは一通り理解できると思います。

だからダイレクトマーケティングはよく知っているって人が読むと、どれもこれも知っているばかり、当たり前のことばかり書かれていると感じるのではないかと思います。
僕も読んでいる時はそう思っていたのです。
でも、読み終わってから、自分の業務に照らし合わせて考えてみると、やらなきゃいけないけどできていないことなど、いろいろ見えてきました。

ダイレクトマーケティングは通信販売や通信販売広告と同義的にとらえがちですが、むしろそれらを内包した概念だといえます。米国のダイレクトマーケティング協会によれば「1つまたは複数の広告メディアを使って、測定可能な反応あるいは取引をどんな場所でも達成することのできる双方向のマーケティングシステム」と定義していて、伝統的なマーケティングとの違いを下記の4つの基本概念で示しています。

そして、その4つの基本概念がこれなのですが・・・

  1. マーケターと見込客あるいは顧客との間での「双方向性」あるいはOne to Oneのコミュニケーションが、一般的な広告と区別する1つの要素である
  2. 「測定可能」なことが一般的な広告との違いである
  3. ダイレクトマーケティングは「さまざまなメディア」(例えばDM、雑誌広告、新聞広告、テレビやラジオのスポット、インフォマーシャルなど)を使う
  4. ダイレクトマーケティングでは「いかなる場所」でも売買することができ、小売店やビジネス上の固定的な場所にこだわらない

逆に、これができていなければ、ダイレクトマーケティングの特長が活かされていないと思うのです。
例えば、いろんな反応が測定することが可能なのに、その測定結果が活用できていないとか。

ダイレクトマーケティングは小売業や卸売業などの中間の流通業者を経ないで、見込客や顧客に直接働きかけるマーケティング活動です。マスマーケティングでは見込客や顧客に関する情報が中間流通業者に遮断されることが多いのに対して、ダイレクトマーケティングにおいては、購買行動に関連する個人データが企業側で蓄積でき、その結果として、効率のよい商品開発、ターゲット選定、マーケティングコミュニケーション展開が可能となる、非常に効率的な手法といえます。

購買行動が追えていないだとか。

ダイレクトマーケティングは、大きく2つの領域で構成されています。
1つは「顧客獲得(アクイジション)」プロセスで、集客、リードジェネレーション(見込客発見)」などという表現も使われますが、要は幅広いターゲットの中から見込客や顧客を獲得する仕事です。これを主として店舗に頼らず広告だけで行わなければならないため、行動を起こさせることが目的の「レスポンス広告」の表現戦略が重要なポイントとなります。
もう1つの領域が「顧客活性化(リテンション)」プロセスで、獲得した顧客により多く、より長期の購買や取引を働きかけて「顧客生涯価値」を高める活動です。CRMとも呼ばれますが、継続的なコミュニケーションによってロイヤリティーを維持・向上させていくことが中心になります。Webやモバイルの発達に伴うコミュニケーションや顧客データベースの処理コストが大きく低下する中であらためて可能性が広がっており、今後ますます重要な領域として注目されてきています。

新規の顧客獲得では宣伝、販促、各種コミュニケーションを重視・検討するのに対して、既存顧客の関係維持では継続化、クロスセル、アップセルを目指した関係作りに注力するべきところが、新規顧客獲得も既存顧客の関係維持も一緒くたになってしまっているだとか。

社内のシステムではムリだとか、マンパワーが足りないだとか、最初からムリだとあきらめてしまっていたこともありますが、これを読んでいたらムリだとあきらめるのではなく、なんとかしなければいけないと、あらためて思いました。

「顧客データベースマーケティングの成功ポイント」として書かれていたこれもガツンときました。

顧客データベースを活用したダイレクトマーケティングを成功させるためには、「何のためにやるのか」をしっかりと決めておくことが重要です。CRM領域の施策は個別プログラムの数が多くなりがちで、評価するにも半年、1年かかったり、実施しながら最適化を進めるにしても最終目的を明確にしておかないと「やること」だけに追われがちです。

まったくその通り。

今までいろんな本やセミナーで得た知識は、基本的な最低限のことができたうえでの話です。それができていないのに、枝葉末節にばかりこだわっていたことに気づきました。

わかりやすく例えると、「どうすればハンバーグがよく売れるか?」と考えた時「お皿より鉄板に乗せて出した方がアツアツで美味しいんじゃないの?」「いや、デミグラスソースだけじゃなく、和風ソースも選べるようにした方がいいよ」みたいなことばかりやってたわけです。
そんなこと考える前に、美味いハンバーグ作れよ!って話でした。