旅行ガイド本について考えさせられた「山下マヌーの10年使えるハワイの遊び方」

「山下マヌーの10年使えるハワイの遊び方」(山下 マヌー)を読みました。

『猛烈に!アロハ萌え<HAWAII IN HAWAII>』読んで、あ〜〜〜... ハワイに行きたい... 」で紹介しました「猛烈に!アロハ萌え<HAWAII IN HAWAII>」(橋口 いくよ)を読んでから、ハワイが気になってきました。

以前ハワイに行った時「ハワイ個人旅行マル得マニュアル」と「お値打ちハワイ」を読んでいたのですが、とても参考になったし、読み物としても楽しめました。
今回の本はこの2冊と同じ山下マヌーさんの著書です。

山下マヌーの10年使えるハワイの遊び方(山下 マヌー)

10年使える?ハワイ本

この本の好きなところの一つに、装丁があります。
カバー(帯?)の高さが中途半端で、本を全部覆っていません。上の写真でベージュ色の部分がカバーの部分で、オレンジ色の部分がカバーのないところです。
だからこのカバーを外すと、このような状態になります。

カバーを外せば10年使えるペーパーバックに!?

Amazonの写真もカバーが外された状態なので、カバーではなく、帯の扱いなのかもしれません。↓

カバーにも「※カバーを外せば10年使えるペーパーバックに!?」と書かれていますが、このカバーを外すと、一見洋書のペーパーバック風になります。
ガイドブック片手にキョロキョロお店を探すのはなんとなく恥ずかしかったりしますが、この本はいかにもガイドブックって感じの装丁じゃないので、ハワイのビーチで読んでいてもそんなに恥ずかしくありません。

さらにカバーにはこんなお役立ち情報も載っています。

  • 買い物に役立つ! 衣類サイズ比較表
  • 使える! チップ一発早見表
  • もしものために! 緊急時/病気時連絡先一覧
  • やっちゃった! カード紛失/盗難の際の問い合わせ先
  • 一発でわかる! ヤード・ポンド法換算表

そして、このカバーにこの本がどんな本か書かれているわけですが・・・

ネットやガイドブックにあふれるハワイ情報だけではハワイは楽しめません。
肝心なのはそれらをどう選びどう使いこなすか。
当書にはそんなテクニックと裏技が満載!
しかも、ビギナーからリピーターまで10年使える情報を厳選!
1回で不要になるガイドブックより、10年使えるマヌーのハワイ本!

これは難しいと思いました。
15年前、インターネットがまだ普及していない頃なら話はまた別ですが、印刷物でこのような情報を伝えるには、毎年最新の情報に作り直して発行するしかないと思うのです。
もちろん10年使える情報もあると思いますが、お店や観光スポットなどの情報は最新の情報は載せられないし、老舗の情報にしても10年もすれば陳腐化してしまうと思います。
これはこの本を読み終わった時、考え方が変わるどころか、より一層強く感じました。

カイルアの現実

一番衝撃的だったのはここでした。

現実といえば、カイルアの現実はかなり酷いものになってしまいました。15年前の名著「ハワイ個人旅行マル得(○の中に「得」の字)マニュアル」で紹介した頃には日本人はおろか、外国人の数も数えるほどのまったり、ゆったりしたエリア。それが今ではバスでツアー客が押し掛け。しかもやってくる時間が重なっているのか、ビーチや街に日本人が溢れて、そこにはカイルアがカイルアだった時代の姿はありません。そのうえ行くところが皆一緒。カイルアのパンケーキ屋、ブーツ&キモのことです。現地の人々から「わざわざ観光客が行く理由がわからない」と言われてどうするんですか?

自分で名著?はさておき、僕も8年前にハワイに行った時、レンタカーに乗って行きましたが、人があまりいないのんびりした海を楽しめました。
バスでツアー客が押し掛けているというのは、ちょっと想像できない状況です。
でも、当然と言えば、当然の結果だと思います。
今回の本で紹介された穴場的なところも、10年後には観光客でごった返しているかもしれません。

あまり知られていないスポットを紹介する。
しかし、そこは数年後に観光客が押し寄せ、誰でも知ってるスポットになる。

本を書くたびに、新しい場所を食い尽くさないように紹介し続けていかなければならないのです。
これで10年後でも使える本なんてできるのかな? と思ってしまうわけです。

これはちょっと残念・・・

この本には美味しそうな食べ物の写真は載っていませんし、お店の地図も載っていません。
なにしろ一色刷で、文字の情報以外に載っているのはイラストだけです。
だからカラーの写真がいっぱい載ったガイドブックとはまったく別ものです。
でも、この書き方はなかったんじゃないかと思いました。

この本は単なるレストラン情報や買い物情報が掲載されているだけの、そこらのアリガチガイド本とは全く違うのは当然、ましてや最近ハワイに行きだしたばかりなのにもかかわらず、「私ハワイ知ってるもんね」的に書かれた、そんなブログの発展的内容とも違います。

最近、いろんなハワイの本が出ていますが、それらの中には「こんなもの誰でも知っている情報じゃないか!」「数回しかハワイに行ったことないのに、知ったかぶって」と憤りを感じることも少なくないのかもしれません。

しかし、ベテラン野球評論家が駆け出しの評論家を人前でけなしたり、一流シェフが新米料理人のことを悪く言ってるのを、あまり耳にしません。
自分のことをハワイ通の大御所だと思っているならなおさら、これはないんじゃないかと思いました。

マヌーさんが橋口いくよさんのことをどう思っているのかは知りませんが、橋口さんの著書「猛烈に! アロハ萌え <HAWAII IN HAWAII>」で紹介されていた「トップ・オブ・ワイキキ」がこの本でも紹介されていたのはおもしろかったです。 トップ・オブ・ワイキキは、僕も子どもの頃に行った記憶がありますが、過去のスポットのイメージで、また行こうとは思っていなかったところです。ハワイについて、まったく別のアプローチをされているお二人が同時に紹介されていたので、ちょっと興味が出てきました。

最後に

あとがきにこのように書かれていました。

これから10年(いやそれ以上)先にも残って欲しい、愛しいハワイのモノやコト、風景を詰め込んだつもりです。

最新の情報が更新され続けるインターネットの存在や、本で紹介した「知られていないスポット」は数年で「誰でも知っている場所」になっていくことを考えると、やっぱりこれは難しいのではないかと思いました。