「考えずに、頭を使う」(桜庭 和志)を読んだ。
プロレスや格闘技に興味のある人が読めば、それなりに楽しめると思う。
なぜあの時、あのようなことをしたのか? など、過去を振り返って書かれているので、当時のことを知っていれば、意外な事実も知るかもしれない。
また、学生の頃、どのように考えてクラブ活動の練習をやってきたかについても書かれているので、今現役の学生、とくに運動部なら参考になることも多いと思った。
では、それ以外の大人には参考になることは書かれていないのか? と言われると、難しい。
正直、ああしろ、こうしろ、とは書かれていない。
終始「自分はどうしてきた」という話なのだ。
つまり、ここから何かの参考にしたいなら、「読んで、自分で理解して、盗め」ということではないかと思った。
超自然体?
2010年12月31日のマリウス・ザロムスキー戦で、耳をケガした時も「すいません、耳がとれちゃいました」と、深刻さをまったく感じさせず、軽く「やっちゃった!」くらいの雰囲気で言ってしまう桜庭。
いつも飄々としたイメージで、何を考えているんだろう?と思っていたが、何も考えていないというよりも、あれこれ考えない方がよいと考えて考えないようにしている、そんな「超自然体」に感じた。
書かれている内容は、ある程度、想像していた範囲内だったが、たまに独特の考え方も出てきた。
例えば、練習について。
人の目につかないところで練習している人は、監督に「数をごまかしているのではないか?」など、「見られたくない理由がある」と思われがちだ。せっかく必死になって練習しているのに、あらぬ疑いをかけられてはもったいないので、多少はバテている姿をさらすことになったとしても、見えるところでハデにやった方がいい。
これが「頭を使う」ということらしい。
そ、そうなのか?
最後に
「勝ち」だけにこだわるのではなく、「お客さんを楽しませる」のがプロだという考え方はプロレス出身ということが大きく影響しているのではないかと、プロレスファンの僕は思った。