「キャリー」風間賢二の解説だけでも読む価値あり
久しぶりに怖い話を読みたくなったので、「キャリー」(スティーヴン・キング/永井 淳)を読んだ。
「キャリー」はスティーヴン・キングの1974年の小説で、1976年にはブライアン・デ・パルマが、2013年にはキンバリー・ピアース(誰?)が映画化している。
「おまえは悪魔の申し子だよ」狂信的な母、スクールカーストの最下層...悲劇はその夜、訪れた。巨匠キングの鮮烈なるデビュー作にして、三度の映画化を経た永遠の名作。
「Amazon.co.jp: キャリー (新潮文庫): スティーヴン キング, Stephen King, 永井 淳: 本」より
Amazonの説明には「三度の映画化」と書かれているが、1999年の「キャリー2」か、2002年のテレビ映画「キャリー」もカウントされているのかな?
小説「キャリー」
今回読んだ「キャリー」は2013年版の公開にあわせて装丁が新しくなり、文芸評論家の風間賢二の解説が最後に掲載されている。
そしてこちらが2013年版の予告編だ。
ストーリーはいたってシンプルで、映画の予告編を観ただけで、ほとんどわかってしまうだろう。
家庭では狂信的な母親に虐待され、学校ではいじめられる女子高生キャリー。プロムで豚の血を浴びせられたキャリーは、超能力(テレキネシス)で街を破壊する。
リアルタイムの話と、当時を振り返った話で構成されているのだが、これだけのシンプルな話をよくここまでふくらませて書けるものだと思った。
ただ、全体のストーリーはシンプルなのだが、読むのは疲れた。それぞれが何を考えているのか、よくわからなかったり、そもそもプロムって何やねん? とか、するする頭に入らず、考えながら読まされている気分になってしまった。
ちなみに「プロム」とは・・・
プロム(Prom)とは、プロムナード(米:promenade、舞踏会)の略称で、アメリカやカナダの高校で学年の最後に開かれるフォーマルなダンスパーティーのことである。
「プロム - Wikipedia」より
中学、高校と6年間、男子校で過ごした僕には、まさに映画の中だけの夢のイベントに感じる。
痩せゆく男
すっかり忘れていたが、何年も前にスティーヴン・キングの「痩せゆく男」を読んだ。この時も疲れたことを思い出した。怖さを感じるよりも、ストーリーを理解しようとする方に意識がいってしまって、読み終わったら「疲れた・・・」くらいしか頭に残らなかった。
実は「痩せゆく男」は、スティーヴン・キングではなく、リチャード・バックマン名義で書かれている。
にもかかわらず、本の表紙の著者名には「リチャード・バックマン 実はスティーヴン・キング」と書かれてしまっている。しかも「リチャード・バックマン」より「スティーヴン・キング」の方が大きく目立つ文字で。
どうして「スティーヴン・キング」じゃなくて「リチャード・バックマン」なんだよ?
「リチャード・バックマン」じゃ売れないよ!
「スティーヴン・キング」じゃダメなのか?
みたいな裏側の事情が見え隠れする表紙だ。
風間賢二の解説
上でも書いたが、この「キャリー」には、最後に21ページにもおよぶ解説が載っている。その中でも「2.『キャリー』のサブテクストを読む」では、スティーヴン・キングが表明していないサブテクストについて解説されているので、過去に「キャリー」を読んだことがある人も十分楽しめると思う。
普通に読んだだけでは理解できない物語の様式や、小説の中に出てくる物が象徴することや、できごとや意味することなど、詳しく書かれている。
このようなところまで外国の作品では読んだだけで理解することは難しい。
そんなわけで、外国の作品は小説で読むより、映画で観る方がわかりやすく、自分にはあっているのかもしれない。
2013年版 映画「キャリー」
映画といえば、2013年版の「キャリー」は、「キック・アス」でヒットガールを演じていたクロエ・グレース・モレッツがキャリーを演じている。
クロエ・グレース・モレッツといえば、かわいくてクラスの人気者のイメージだ。どちらかというと、いじめられるキャリーよりも、いじめる側の方が似合いそうな気がする。
いじめられるキャリーがイメージできないクロエ・グレース・モレッツだが、今度は映画「キャリー」もぜひ観てみたい。