予想外のラストに驚愕「カジュアル・ベイカンシー 突然の空席」

「ハリー・ポッター」の著者、J.K.ローリングの新作「カジュアル・ベイカンシー 突然の空席」を読んだ。

「カジュアル・ベイカンシー」とは「偶発的な空席」という意味で、死者が出て、議席に空きが出た時にそのように言うそうだ。

 カジュアル・ベイカンシー 突然の空席(J.K.ローリング)

今回読んだのは製品版ではなく、校了前の見本版なので、表紙も製品版とは異なる。

物語の舞台はイギリスの小さな町、パグフォード。
地方自治組織議会の議員、バリーが亡くなるところから話は始まる。

驚いたのは登場人物の多さで、次から次へと人が登場してくる。
誰が誰かわからなくなるのではないかと不安になったが、読み進めるうちに人間関係や町の歴史、土地についてわかってくると、それは杞憂に終わった。

まるで自分がパグフォードの住人のように感じるほど、この本の中ではみんなが生きて、生活をしていた。
パグフォードで過ごしていると、よい話だけでなく、よくない話、聞きたくない話も耳に入ってくる。

インターネット掲示板での誹謗や、低所得者の生活保護やドラッグ問題など、目を逸らしたい話も出てくるが、読んでいる間中、たくさん人の思いや感情が奔流となって流れてくるので、真っ向から立ち向かわなければいけない。
800ページを超えるボリュームは想像以上に重かった。

そして予想もできなかったエンディングは、読み終わった僕の心に傷を残していった。
治るまでしばらくかかりそうだ。

ちなみに紙の書籍版と同時にKindle版も出ている。

Kindle派の方には、軽くて安い。そして何より、今すぐ買って(ダウンロードして)読めるKindle版がオススメ。