「姑獲鳥の夏」から20年... だから今「定本 百鬼夜行 陽」を読む

「定本 百鬼夜行 陽」(京極 夏彦)を読んだ。

定本 百鬼夜行 陽(京極 夏彦)

実際に読んだのは電子書籍なので、3冊に分かれている。

紙の本の場合、厚さに制限があるので、分冊も理解できる。
逆に電子書籍のメリットは、ページ数に(厳密には上限はあるのかもしれないが)制限がないので上下巻に分かれた本も1冊にできる。

実際、ダン・ブラウンの「ロバート・ラングドン」シリーズなどは上中下巻が合本で一冊の電子書籍になっている。

ところが、この「定本 百鬼夜行 陽」の場合、元々1冊だった本が電子書籍で3冊になっているのだ。何のため?
こんなバカげた話はない。
おかげで1,890円の本が515円の電子書籍3冊になっている。

まぁ、電子書籍化の不満はこれくらいにしておくが、もう少し読む側のことも考えて欲しいものだ。

さて、この「定本 百鬼夜行 陽」だが、「百鬼夜行」シリーズ(京極堂シリーズ)の「姑獲鳥の夏」から次回作「鵺の碑」までの登場人物のサイドストーリーとなっている。

  1. 青行燈 (あおあんどう)
  2. 大首 (おおくび)
  3. 屏風のぞき (びょうぶのぞき)
  4. 鬼童(きどう)
  5. 青鷺火 (あおさぎのひ)
  6. 墓の火 (はかのひ)
  7. 青女房 (あおにょうぼう)
  8. 雨女 (あめおんな)
  9. 蛇帯 (じゃたい)
  10. 目競 (めくらべ)

この十話の短編集となっていてるのだが、榎木津礼二郎の話「目競」を除いて、主要人物の話はない。
他の話に登場していた人物の話になっている。はずなのだが・・・

正直、ぜんぜん覚えていなかった。
それぞれの話を読み終わると「この人、誰だっけ?」といった感じで、本来読み終わった時に「あぁ、こんなことが起こっていたのか」とスッキリするはずが、モヤモヤしか残らなかった。

しかし、それも無理もない。「百鬼夜行」シリーズ最新刊「邪魅の雫」(2006年)ですら8年前の作品だ。
その前の「陰摩羅鬼の瑕」(2003年)になると10年以上前で、「絡新婦の理」(1996年)以前の作品となると15年以上前になる。
そして「姑獲鳥の夏」(1994年)からは20年になる。そりゃ一度しか読んでいないと、覚えていないはずだ。

大まかなストーリーなどは、なんとなく覚えているが、その中の登場人物となると、よほど印象的な人しか記憶に残っていない。

というわけで、この本を読む時は、「姑獲鳥の夏」から「邪魅の雫」まで、もう一度読み直すことをオススメする。その方が256倍楽しめる。はず。

最後に「鵺の碑」は、いつまで待たされるのか?