まさにダークサイド「フリーライダー あなたの隣のただのり社員」

「フリーライダー あなたの隣のただのり社員」(河合 太介、渡部 幹)を読みました。
実は今まで「フリーライダー」という言葉を知りませんでした。

フリーライダー あなたの隣のただのり社員

本屋で見かけた時、「遊園地の乗り放題」か「アメリカのフリーウェイをでかいバイクで走る人たち」の話かと思って手にしました。
「あなたの隣のただのり社員」と書いてあるのを見て初めて知りました。
要は「自分は楽をしておいて、他人の努力や善意の恩恵にあずかっている人」なのですが、読んでいくうちにイメージしていた「仕事をサボってる人」とかそんな単純なものではないことがわかってきました。

心に余裕がある時に読んだら、もっと違った印象を受けたかもしれません。
なるほど、彼らもある意味被害者なんだよ。
なんて思ったかもしれません。
でも、今の僕にはそんな余裕はなく、「ふざけるな!このただのり野郎っ!」と読んでる間中、胸くそ悪くなりました。

まず、「サボり系」か「略奪系」か? 「実務的負担系」か「精神的負担系」か? この2つの軸で分けて、四種類のフリーライダーに分類されます。
サボり系・実務的負担系の「アガリ型」、略奪系・実務的負担系の「成果・アイデア泥棒型」、略奪系・精神的負担系の「クラッシャー型」、サボり型・精神的負担系の「暗黒フォース型」の四種類です。
これらのタイプ別に、どのようにして生まれてくるか、接し方、そして対策が書かれています。

タイプ別の一つに「暗黒フォース型」がありましたが、読んでいて感じたのはフリーライダーそのものもダークサイドそのものであるということです。誰にでも良い面と悪い面はあり、それがふとしたきっかけでいつでもダークサイドに陥ってしまう可能性があるということです。
この本を読んで「許せん!」と思う人もいれば「正直者がバカを見る。俺も楽してやろう」と思う人もいるかもしれません。
その証拠に「第五章 個人として取るべき行動」の最初に載っているのが「1.自分がフリーライダー化しない」です。そして、何度も出てくるのが、自分がフリーライダーにならないためにどうすればよいか、どのような行動をとることによってフリーライダーと見られないかということです。

そうです。
自分はフリーライダーではないと、今まで思い込んでいましたが、他の人から見たら必ずしもそうではないかもしれないということなのです。
実は自分がまわりからフリーライダーと思われているかもしれないのです。
あらためて自分を見直しました。
無意識にしていることも、人によってどう受け止められているのかなど。

そしてフリーライダー化しないために意識して取るべき具体的行動は、フリーライダー問題という枠を超えて、より能動的な意義をあなたの職業人生にもたらす可能性があります。その意味からも、以下にあげる四つの行動を、積極的に取ってみてはいかがでしょうか。
(1)「成長意識を忘れない」
(特に先輩や上司になったときに)相手からの信頼の基本を、このことがつくります。
(2)「巻き込まれる力を高める」
この先の成長や成功に必要な良質な経験を得る機会を、これが増やします。
(3)「おもしろがり力で近寄ってみる」
人間関係の拡充と、想像のために必要な知識の引き出しを、これが増やします。
(4)「常に感謝の気持ちを忘れない」
気づかないうちに、あたなの応援団をたくさんつくります。

一人一人の意識を変えていかなければフリーライダー問題は解決しません。
そんなヤツまわりにいないとか、自分は関係ないなんて言わずに、新入社員、ベテラン社員、大企業、中小企業関係なく、みんなに読んでもらいたい。
そう思いました。

フリーライダー あなたの隣のただのり社員 (講談社現代新書)

河合 太介 講談社 2010-06-17
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by ヨメレバ