徹底検証?「都市伝説の正体 ーこんな話を聞いたことはありませんか?」

「都市伝説の正体 ーこんな話を聞いたことはありませんか?」(宇佐 和通)を読みました。

この世に不思議なものなどなにもない「なぜ宇宙人は地球に来ない? 笑う超常現象入門」」でも書きましたが、僕は不思議な話は嫌いじゃないけど、信じられません。
都市伝説も同じでチェーンメールや口コミで耳にしても「またか・・・」と思うくらいで、信じることはほとんどありません。
興味もほとんどないので、今までこのような本は手にしたことがありませんでしたが、帯に書かれた「誰もが聞いたことがある都市伝説を徹底検証!」に惹かれて読んでみました。

都市伝説の正体 ーこんな話を聞いたことはありませんか?

怪談と都市伝説は似て非なるもの

都市伝説とは怖い話、または不安な気持ちにさせられる話と思っていましたが、どうもそうではないようです。
怪談と都市伝説は似て非なるものであり、宇佐和通氏の都市伝説の定義とは

"友だちの友だち"という、決して近い間柄ではなく、特定もできないが、実在することがかすかに感じられる人が体験したものとして語られる、起承転結が見事に流れる話

だそうです。

だから、DVDやコンビニ本にある「本当にあった都市伝説」みたいなタイトルはおかしいそうな。
都市伝説は、本当にあったとして語られる"実際には起きていない話"なので。

都市伝説の意外なところ

たくさんの都市伝説とそこから派生してできた都市伝説や、その都市伝説に影響を与えたと思われる事件や社会現象など時代背景や詳しく紹介されていて、とてもよくわかりました。

読んでいて意外に感じたことがあります。
まずは次の3つの都市伝説を読んでください。

日焼けマシン

となる女の子が、早く黒くなれるよう、日焼けサロンに毎日通いつめていた。最新式の機械を入れたチェーン店の会員になったが、日焼けが思うほどに進まない。
そこで、その子は同じ機械を入れている別のチェーン店でも会員になって、1日に店を3〜4軒回って3時間も4時間も焼いた。おかげですぐに黒くなることができたが、大変なことになってしまった。この機械は最新型だけあってかなり強力で、1日に1時間しか使ってはいけない種類のものだった。彼女も入会するときに注意されていたが、とにかく早く黒くなりたかったので無視してしまったのだ。
2週間くらい経ったある日。朝起きると、ものすごく具合が悪かった。その日はなんとか過ごしたが、だるさと辛さは日を追うごとに増していく。そこでとうとう病院に行き、診察してもらった。
医師はレントゲン写真を見ながら、信じられないことを言った。「あなた、何でこんな状態になるまで放っておいたんですか?! どんな理由かは知らないが、内臓が焼けただれたような状態になっていますよ! 一体何をしたんですか?」
そこで彼女は、日サロに通って強力な日焼けマシンを使っていたことを話した。どうやら、日焼けは肌だけでは止まらず、とてもデリケートな内臓まで達してしまったらしい。

エイズメアリー

とある年の夏のボーナス支給日。会社員のAさんが、同僚と行きつけの店で飲んでいた。やがて、Aさんはカウンターに一人で座っている好みの女の子に目をつけた。Aさんたちが見せに入ったときからいたので、かれこれ2時間一人で飲んでいる。待ち合わせにしては時間が経ちすぎている。
とある年の夏のボーナス支給日。会社員のAさんが、同僚と行きつけの店で飲んでいた。やがて、Aさんはカウンターに一人で座っている好みの女の子に目をつけた。Aさんたちが見せに入ったときからいたので、かれこれ2時間一人で飲んでいる。待ち合わせにしては時間が経ちすぎている。
声をかけようと決めたAさんは、あれこれ理由をつけて同僚たちを先に帰し、女の子に近づいていった。すると彼女は、まるでAさんを待っていたかのようにあっけなく話に乗ってきた。それからしばらく二人で飲んだ後、Aさんはダメ元で「ホテルに行かない?」と訊いてみた。すると女の子は、そう言われるのを待っていたかのように頷いてみせた。
その夜は、Aさんにとって生涯最高の夜となった。どちらかと言えば冴えない自分が、こんなに可愛い子をゲットできた・・・。信じられないようなツキだ。Aさんは、部屋の窓が白み始めるころやっと眠りに就いた。
目が覚めると、すでに陽が高く上っていた。隣を見ると、彼女の姿がない。シャワーを浴びているのかと思ったが、服もバッグも見あたらない。先に帰ってしまったようだ。まあ、仕方ない。別に付き合うつもりで声をかけたわけじゃない。
とりあえず顔でも洗おうと思ってバスルームに入ったAさんは、鏡を見た瞬間、体が凍りついたように動けなくなってしまった。そこには、真っ赤な口紅でこう書かれていたのだ。
「エイズの世界へようこそ」
Aさんにとって生涯最高の夜は、最悪のニュースをもたらすものとなってしまった。

ビーハイブス

長く伸ばした髪の毛をソフトクリームのような形に巻き上げ、大量のヘアスプレーで固めたビーハイブスというヘアースタイルが流行したことがある。とある高校に通っていた女の子が、学校で一番のビーハイブスを仕上げようとして、髪の毛を洗った後砂糖水で濡らし、髪を巻き上げて乾かし、形を整えながらさらにスプレーで固めて完成させ、寝るときには全体を大きなバスタオルで巻いて形を保っていた。
学校で一番美しいビーハイブスと言われ、大満足の毎日を過ごしていたある日の朝、学校へ行く途中で、高くとんがったビーハイブスの先端が木の枝に触れた。枝の先にはクモがいて、そのまま髪の毛にまぎれ込んでしまった。もちろん彼女はそんなことは知らない。
しばらくして頭皮にかゆみを感じるようになったが、せっかく作ったビーハイブスを崩す気持ちにはなれなかった。
そして何週間か後。彼女は、授業中に液体が額をつたっているのを感じた。手で拭うと、それは真っ赤な血だった。驚いて立ち上がったとたん、目の前が真っ暗になって倒れ込んでしまった。
救急車で病院に運ばれ、医師の診察を受けたが、彼女はすでに死んでいた。医師がメスを使ってビーハイブスに切れ目を入れると、中から何千匹というクモの子どもが這い出てきた。何週間か前の朝、髪の毛にまぎれ込んだのはメスのクモで、それが卵を産み、孵化した子グモが頭皮はおろか頭蓋骨まで食い破って脳まで達していたのだ。

1日に1時間しか使ってはいけないと注意された日焼けマシンを無視して何時間も使ったとか、戒める話が多いように感じたのは意外でした。

アメリカと日本の怖さの違い

日本だけでなく、アメリカなど外国の都市伝説についても紹介されていますが、アメリカと日本の怖さのツボが異なる点は興味が持てました。

アメリカの都市伝説に、幽霊をはじめとする超自然的な存在をモチーフとしたものはきわめて少ない。理由ははっきりしないが、それは恐れの感覚の違いではないだろうか。あるいは、怪談とスプラッタームービーの違い−番町皿屋敷と『13日の金曜日』の違い−とも形容できるかもしれない。日本人が恐怖を感じるのは理不尽さだが、アメリカ人が恐怖を感じるのは殺人者といった、より物理的で身近に出現し得るものなのだ。

Amazonの評価を見ると想像していたより低い評価でした。
僕のようにあまりこの手の本を読んだことがないとどれも新鮮に映りましたが、上級者の方には物足りないのかなぁ・・・