リーダー、経営者に読んでもらいたい「無印良品は、仕組みが9割 仕事はシンプルにやりなさい」

「無印良品は、仕組みが9割 仕事はシンプルにやりなさい」(松井 忠三)を読んだ。

無印良品は、仕組みが9割 仕事はシンプルにやりなさい(松井 忠三)

著者の松井忠三は、「無印良品」を展開する株式会社良品計画の代表取締役会長だ。

無印良品というブランドが生まれて20年、母体だった西友から、株式会社良品計画として独立して10年ほど経った2001年の8月中間期。
それまで右肩上がりの成長を続け、1999年には売上高1,066億円、経常利益133億円を達成していた良品計画が初めて38億円の赤字を出した。
松井忠三が社長に就いたのはその頃だ。

そして、松井忠三は「仕組みづくり」に取りかかった。
これが無印良品の店舗で使っているマニュアル「MUJIGRAM」だ。

「MUJIGRAM」は、全13冊、2,000ページにも及び、写真やイラスト、図もふんだんに盛り込まれ、レジ業務から経理、労務、配車などあらゆる業務を網羅している。

個人の経験や勘に頼っていた業務を"仕組み化"し、ノウハウとして蓄積させるために、この膨大なマニュアルが作られたのだが、この本では、どうしてマニュアルが必要なのか、どう使うのか、いろんな問題にどうやって向き合ってきたかが書かれている。

書かれていることはいたってシンプルで、全編いかに仕事をシンプルにして、効率よく、ムダを省くか、ということが書かれている。
それは、まるで無印良品の商品のようだ。

マニュアルと聞くと、決められたこと以外の仕事をできなくなる、マニュアルに依存して受け身の人間を生み出す、と否定的に考える人もいるだろう。
無味乾燥なロボットを動かすような、画一的なイメージを持つ人もいるらしいが、当然そういう人をつくるのが無印良品の目的ではない。むしろ、マニュアルをつくれる人になるのが無印良品の目指すところで、重要なのはマニュアルをつくり上げるプロセスだ。全社員・全スタッフで問題点を見つけて改善していく姿勢を持つことが目的だ。こうやって血の通ったマニュアルを作り上げていく。

ここで一つ一つ紹介してもよいのだが、僕のフィルターを通すより、そのまんまを読んだ方が256倍ためになる。
読みやすいし、ボリュームもないので、すぐに読めると思うので、ぜひこの本を読んで欲しい。

YouTubeに動画があった。

常日頃から「効率」を意識している僕は、共感できることも多かったが、真逆の考え方をしていることもあった。

迷ったときは「難しいほうを選ぶ」

これは松井忠三の信念の一つで、「迷ったときは大変な道を選ぶと、結果的に正しい道を歩める」らしい。
その理由がこれだ。

それは難しい選択肢にこそ、問題を解決する本質が潜んでいるケースが多いからです。
簡単に実行できる解決策は、確かに魅力的ですし、"目の前の問題"ならすぐに解決してくれるでしょう。しかし、その問題を表面的にしかとらえていないので、いずれまた同じ失敗を繰り返します。

ホントかな? という気がしないでもないけど、今後の参考にしたいと思った。

このように、自分や自分のチームでできることもあるが、もっと大きい組織。例えば、企業全体で取り組まなければ解決できない問題もある。
例えば、会議について。

「形だけの会議」をなくそう

新店舗出店の会議だと、内容を理解でき、その案件が妥当かどうか判断できるのは、開発部長と社長くらい。にもかかわらず、会議には他の部門長も出席するので、何か発言せねばならないと思って、適当な意見を述べる。
「その付近の通行量はどうなの?」「どんな人が住んでいるの?」
答えられないと再調査になる。担当者は調査し直し、再び議題に。また重箱の隅をつつくような質問をされ、数ヶ月かけてリサーチしたにもかかわらず、あっさり秘訣されることもあったそうな。

その結果、社内に蔓延したのが根回し主義で、その案件に対して影響力のある役員などへの根回しは、とくに重視され、事前に案件を内諾してもらうように働きかけるようになったらしい。

こうなってしまうと、もはや会議は単なる儀式で、重要な案件は事前に結論が出て、些末な議題だけ話し合うような状況だったらしい。
活発な議論ができないので、組織の活性化など望めない。

こうして、実行より手続きが大事な会社は衰退していく・・・

そう。全社で取り組まなければ解決しないことも多いのだ。

最後に・・・

「踊る大捜査線」の和久さんが言っていた。
「正しいことをしたければ、偉くなれ」

いくら僕が、ムダをなくして、効率よくしたいと思っていても、組織の中の小さなチームしか変えることができない。

偉くなって、もっと大きな組織を変えたいところだが、それまで待っていては腐ってしまう・・・

だから、できるだけ多くのリーダー、そして誰よりも経営者に読んでもらいたいと思った。

そして最後に、リーダーの使命について、こう書かれていた。

リーダーは自分が率先して、頑張って目標を達成するのがすべてではないはずです。部下が率先して行動するような仕組みをつくり、部下の意識を変えていくのが、リーダーに課せられた使命です。

僕は「あのチームは、●●さんがいなければダメだ」ではダメだと思っているのだが、そのように考えている人が意外と多かったりする。

かねてより「自分のチームが回るように、仕組みを作ること」が自分の仕事だと思っていた。もし自分がいなくなってもチームが回るようになれば、新たなフェーズを迎えることになる。
その時のために、やはりマニュアルつくりは必要だとあらためて感じた。