かえって新鮮に感じた「八つ墓村」(横溝 正史)

「八つ墓村」(横溝 正史)を読んだ。

八つ墓村(横溝 正史)

今さら? と言われそうだが、映画は観たことあるものの、原作は今まで読んだことがなかった。

たたりじゃ〜! たたりじゃ〜!
八つ墓村のたたりじゃ〜〜〜!

映画「八つ墓村」と言えば、このセリフで有名だが、公開されたのは1977年だった。
それ以来、テレビでも何度か放映されたが、おそらく1回しか見ていない。
金田一耕助=石坂浩二のイメージを持っているので、「八つ墓村」の金田一耕助、渥美清はピンとこなかった。やっぱり誰が観ても寅さんのイメージが強いだろう。

ところどころ、印象的な映像は頭に残っていたが、ストーリーはまったく覚えていなかった。

戦国の頃、三千両の黄金を携えた若武者が、七人の近習を従えてこの村に落ちのびた。だが、欲に目の眩んだ村人たちは八人を襲撃、若武者は「七生までこの村を祟ってみせる」と叫び続けながら、七人とともに惨殺された。
その後不祥の怪異があい次ぎ、半年後、落人殺害の首謀者、田治見庄左衛門が家族・村人を切り殺し、自らの首をはねて死ぬという事件が起こった。この事件の死者が八人出たことで、村人は恐怖のどん底にたたき込まれた。村人は落武者の怨念を恐れ、犬猫同然に埋めておいた八人の死骸をとりだすと、八つの墓をたて、明神として祟めることにした。以来、この村は"八つ墓村"と呼ばれるようになったという―。
大正×年、田治見庄左衛門の子孫、田治見要蔵が突然発狂、三十二人の村人を虐殺し、行方不明となる。それから二十数年、謎の連続殺人事件が再びこの村を襲った...。

Amazon.co.jp: 八つ墓村 (角川文庫): 横溝 正史: 本」より

原作は1949年から1951年にかけて書かれたそうなので、今から60年以上前の作品になる。そのため、最近ではあまり使わないような表現や、知らない慣用句なども出てくるが、かえって新鮮に感じた。

物語は、事件の関係者である寺田辰弥の手記として書かれている。この辰弥の惚れやすい(?)性格や恋愛観がどうも共感しにくく、特に最後はポカーン・・・としてしまった。

この話が書かれた当時では、一般的な感覚だったのだろうか? と思った。

後から知ったが、角川文庫の「金田一耕助ファイル」の1号が「八つ墓村」なので、これが一番古いのかと思いきや、書かれた順番に出ていないらしい。「八つ墓村」の中で、「鬼首村」について、「『悪魔の手毬唄』『夜歩く』を参照」と書かれていた。

今後、この「金田一耕助ファイル」の番号順に読むべきか、書かれた順番に読むべきか、迷うところだ。