読まなければ後悔する一冊「コルトM1851残月」(月村了衛)

「コルトM1851残月」(月村 了衛)を読んだ。

久しぶりにおもしろいと思える本だった。

コルトM1851残月(月村 了衛)

今回は、「kobo」で読んだ。

時代小説はあまり好きではないが、「コルトM1851残月」という不思議なタイトルにひかれて、何の気なしにプレビューをダウンロードして読んでみた。
なぜか数ページで終わるはずのプレビューがいくら読んでも終わらない。

なぁ〜〜〜にぃ〜〜〜? 買っちまったな・・・
とショボンとした。
無料サンプルであるプレビューをダウンロードしたつもりが、購入してしまったか? と思ったほどだ。
結局、製品版の3割ほどがプレビューで読めてしまった。何かのバグ?

しかし、最初は冷やかしで読んでいたのだが、読み進めていると、これがおもしろい。あまりのおもしろさにそのまま購入してしまった。

kindleの「無料サンプル」も、koboの「プレビュー」も最初の数ページを読むことができるのだが、どちらも読めるページ数が少ない。ビジネス書は目次だけで終わってしまって、本文が読めないものもあるくらいだ。

買う買わないを判断するためのサンプルなのだが、判断できないくらいのボリュームのものも多い。数ページではなく、思い切って3割くらい読めるようにしてもよいと思った。

仮に5割が無料で読めたところで、読みたいと思った本は残りの5割、最後まで読まないと満足できない。もう少し、この先はどうなるのか?と気になるくらいまで読ませた方がよいのではないかと思った。

コルトM1851残月-【電子書籍】

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価格:1,365円(税込、送料込)

時代は嘉永6年(1853年)、江戸の終わり頃の話だ。
残月の郎次は、日本橋の廻船問屋、三多加屋(みたかや)の番頭だが、それは表向きの顔で、裏の社会では堅気のふりをしたやくざと言われている。現代で言えば、暴力団のフロント企業の構成員か?
海軍仕様の六連発ピストル、コルトM1851ネイビーを手にした郎次はバッタバッタと敵を倒していく。まさに痛快! なのだが・・・

ストーリーはおもしろいが、正直、郎次は好きになれなかった。相手も堅気の人間ではないのだが、それも自分の腕を磨くのではなく、自分の都合で人を殺める。それも、刀を持った相手に、圧倒的な力を持つ武器、コルトM1851の力で倒す。そこに正義はない。

ところが、半分くらいを過ぎてから、あることがきっかけで話が大きく転回していく。
そして郎次の生い立ちや、今に至るまでの境遇を知るうちに、徐々に郎次のことを受け入れている自分に気づく。
そして物語はいよいよクライマックスに・・・

おもしろいと思ったのは、コルトを撃つ時のアドバイス。

----憎しみを込めて撃て。憎しみのない弾など当たりはしない。当たらなければ己が殺られる。殺られたくなければ憎め。

スターウォーズのJediの教えなんかと真逆だ。

Fear is the path to the dark side.
Fear leads to anger. Anger leads to hate. Hate leads to suffering.
恐れはダークサイドにつながる。
恐れは怒りに、怒りは憎しみに、憎しみは苦痛へつながる。

このあたりを読んでいると、郎次は正義の味方ではないということがわかる。

おもしろかった。これは本当に読んでよかった。
2014年、「コルトM1851残月」を読まなければきっと後悔する。