ジェット☆ダイスケのファン視点で「YouTubeで食べていく 『動画投稿』という生き方」を読む

「YouTubeで食べていく 『動画投稿』という生き方」(愛場 大介 [ジェット☆ダイスケ] )を読んだ。

YouTubeで食べていく 「動画投稿」という生き方(愛場 大介 [ジェット☆ダイスケ] )

正直「YouTubeで食べていく」ということには、あまり興味がない。趣味で動画編集したりするのは好きだ。でも、これで食べていくとなると、話は違う。
自分の作りたい動画だけを作るわけにはいかず、どんなものが求められているかそれにあわせたり、反応を調べたり、そんなことを考えなければならず、仕事となると趣味のように楽しむだけではなくなってしまうからだ。

興味があったのは、著者の愛場大介だった。
愛場大介は「ジェット☆ダイスケ」の名前でYouTubeにたくさんの動画をアップしている。何か買おうか迷った時、実際に使っている人の意見を知りたくて検索すると、たいていジェット☆ダイスケの動画が出てくる。

例えば、これはPanasonicのデジカメ「LUMIX DMC-FZ1000」のレビューだ。

観ているうちに、なんか欲しくなってしまう。そんな気にさせられる人は多いのではないだろうか。
こんな動画がいっぱいアップされているのだが、実はこのデジカメ一つでも8万円ほどする。

キーボードなど音楽関係のものだけ観ていても「こんなにいっぱい買ってどうするんだろ?」「あきらかに使わないものも、いっぱいありそう」そのように見える。

ジェット☆ダイスケって、YouTubeだけで生計を立てているのだろうか?
使い切れないほどたくさん紹介しているものは全部自腹で買っているのだろうか?
企業から提供されるものも多いのだろうか?
他に本業があるのだろうか?
そんなことが知りたくて、この本を読んだ。

「芸能人の普段の生活を知りたくて、ファンがタレント本を読む」そんな視点で読んだので、他の人とは受ける印象がちょっと違うかもしれない。

YouTubeで食べていくことはできるのか?

自分がアップした動画が再生されると、広告が表示され、それに応じてGoogleから広告料が支払われる。アフィリエイト広告と同じような仕組みだと思ってよいだろう。これが「ジェット☆ダイスケ」クラスのユーチューバーになると、どれくらいの収入を得ることができるのだろうか?

しかし、ハッキリとした金額は載っていなかった。
Googleは1再生当たりの報酬額を公開していないし、ユーチューバーも報酬額を公開してはいけない規約になっているらしい。

載っていたのは「1再生当たり0.1〜0.3円」ということくらいだ。
仮に1再生当たり0.1円だとして、1万回再生されて1000円。
100万回再生されて10万円。
動画一本で食べていくことがいかに難しいということがわかる。

また、アフィリエイトリンクなどを貼っても、10円とか20円(これホント?)がぽつぽつ入ってくるだけで、ジェット☆ダイスケですら「YouTubeのアドセンス収益額だけでは生活できませんが、それでも頼りにしてはいます。」ということだ。
ブログのアフィリエイト収入で食べているブロガーは何人かいるようなので、ブロガーと比べると、YouTubeだけで食べているユーチューバーはまだまだ少ないようだ。

ちなみに、企業から提供されるものについては、「PR」や「タイアップ」とバナー表記を入れて、視聴者にも識別することができるようにしているそうだ。
あまり見た記憶がないので、やはり自腹で購入されているものも、相当多いのだろう。

他のユーチューバーは?

では、ジェット☆ダイスケ以外のユーチューバーはどうなっているのか?
この本では、HIKAKIN、MEGWIN、アリケイタ、シバター、劇団スカッシュ、AppBankという著名なユーチューバーの話も載っている。

どういうきっかけでYouTubeに動画を載せるようになったのか、今はどんな生活を送っているのかなど、知ることができる。
ただ、これを読んだ人がそれを参考にYouTubeで食べていけるようになるか? と考えると、それは難しいだろう。

彼らと同じことをやっても、コピーにしかならないからだ。
そして、大切なのはこれだろう。

有名になりたい、モテたい、お金が欲しい、地位が欲しい、そんな欲求は誰でもありますが、それだけでは中身が空っぽのまま。ユーチューバーになった結果、地位も名声も手に入れたという人はいるでしょうが、地位や名声を手に入れるためにユーチューバーになるというのは少しズレていると思いませんか。

みんな何かやりたいことがあって、その手段としてYouTubeを使っている。そんな彼らを見て、自分もYouTubeに動画を投稿しようと思う人もいるだろう。でも、その多くは動画投稿そのものが目的となってしまっているのではないだろうか。

最後に

YouTubeについて、あまり詳しく知らない人がこの本を読むと、一通りの知識を得ることができると思う。これから動画を投稿していきたいという人にも、参考になることは多いだろう。

逆に、ある程度の知識があったり、すでに動画投稿をしている人には、あまり参考にならないかもしれない。

僕が参考になったと思ったのは、次の2つだ。

一つは、スマートフォンで利用が増えているのだろう。小中学生くらいの低年齢層ユーザーが増えているらしい。低年齢層に受けるコンテンツを狙って作れば再生回数を増やすことができるが、脈絡のない誹謗中傷が書かれたりしてコメント欄が荒れることが多々あるそうだ。

今までほとんどコメントを見たことがなかったが、今回いくつか動画を観てみると、ヒドいコメントも見られた。コメントしている人を見てみると、やはり中学生くらいの子供だったりした。

もう一つは、AppBankの話だ。

ブログで記事を読む人は動画を見ないし、チャンネルで動画を見る人は記事を読みません。YouTubeチャンネルに動画をアップして、「詳細はこちら」とサイト記事へのリンクを貼っても、YouTubeのコメント欄に質問を書かれるのです。

「ブログで記事を読む人は動画を見ないし、チャンネルで動画を見る人は記事を読まない」
これは、理解しておかねばならないだろう。

そして、YouTubeで食べていこうとは思わないが、もうちょっと使ってみたくなった。