「ベスト・キッド」にガッカリ ※個人の感想です

8月14日公開の「ベスト・キッド」を観てきました。
こんな説明は不要だと思いますが、原題は「The Karate Kid」で、1984年の映画「ベスト・キッド」(こちらも原題は「The Karate Kid」)のリメイクです。
先行上映で観てきたのですが、観に行った映画館ではなぜか日本語吹替版しか上映していなかったので、日本語吹替版を観ました。

転校生の主人公の少年がいじめられ、アパートの管理人にカンフー(1984年のオリジナルは空手)を教えてもらい、大会でいじめっ子と闘うというストーリーはほぼ一緒です。
日本語吹替版なので、微妙に違うかもしれませんが、オリジナルと同じと思われるセリフもいくつか出てきていました。
大筋は同じなのに、ガッカリさせられる映画になっていました。

文句を言い始めると、なんでカンフーやねんというところから始まりますが、もうそんなことはどうでもいいです。
何がダメにしたかと言うと、バランスだと思うのです。

オリジナルは、 ラルフ・マッチオ演じるダニエルさんは高校生で、パット・モリタ演じるミヤギさんは老人でした。
ジョニーらコブラ会のメンバーに囲まれた時、人数でもパワーでも優位の高校生らに老人のミヤギさんがボコボコにされると思いきや、ミヤギさんが逆にボコボコにしてしまう。これが重要だと思うのです。
リメイクでは、ジェイデン・スミス演じるドレは中学生。ジャッキー・チェン演じるハンは老人と言うには若過ぎる。
見るからに子供のチョンらに囲まれても、とてもハンがやられるようには見えないのです。案の定、ハンはスティーヴン・セガールのように軽々と6人を倒します。
さらにダニエルさんはミヤギさんに借りた車で彼女とドライブに行ったりしましたが、それに対してまだ子供みたいなドレのロマンスには違和感を感じてしまうのです。
5歳ほどしか変わらないと思うのですが、見た時の印象がぜんぜん違うのです。

そしてもっと気になったのが空手とカンフーの修行です。
ミヤギさんから空手を教えてもらうことになったダニエルさんは毎日通います。ところが、来る日も来る日も壁のペンキ塗りや自動車のワックス掛けなど、ミヤギさんに空手とは関係のないことばかりやらされます。
しびれを切らしたダニエルさんはいい加減に空手を教えてくれと詰め寄ったところ、あら不思議。今まで何も習っていない上段受けや中段受けができるではありませんか。ペンキ塗りをしている間に上段受けを、ワックス掛けをしている間に中段受けの練習を知らない間にしていたのです。
ドレも同じようにハンのもとに毎日通いますが、来る日も来る日もジャケットをコートハンガーにかけて、取って、着て、脱いで、落として、拾ってまたかける。こればかりやらされます。いつになったらカンフーを教えてくれるのか・・・あらま不思議、ジャケットをかける動作が突き(?)に、ジャケットを拾う動作が攻撃をよける練習になっていたのです。って、無理ありすぎ。
さらに亀田兄弟のような特訓をして、ドレは強くなっていくわけですが、あやうさの欠片もないくらい強くなってしまいます。

とどめは最後に繰り出す必殺技です。
ダニエルさんは練習していた鶴の構えを出すわけですが、ドレは練習していなかったので、どんな技を出すのかと観ていたら、えぇっ! そんなん練習してへんかったやん・・・
いきなりそんな技って・・・ カポエラやってたからできたわけ???

ほんのわずかな差が絶妙なバランスを崩し、ぜんぜん違う別の物になってしまっていました。
オリジナルが好きな人は観ない方がよいのではないかと思う残念な作品でした。