よいこはマネしちゃいけない「軽く扱われない話し方」
「軽く扱われない話し方」(内藤 誼人)を読みました。
この手の本は読んだことがなかったのですが、読んでみると想像していた内容とちょっと違いました。
そんな人はいないと思いますが、この本は全部真に受けて、そのまんま実行しない方がいいんじゃないかな?
と思いました。
相手の「勘違い」を誘う話し方
人間の頭の良さを逆手にとった話法として紹介されていたのが、この「勘違い」を誘う話し方です。
「今年は忙しくて、まだ外国に行っていないな」と言えば、普通の人なら、しょっちゅう海外にでかけているような印象を受けるが、一度も日本を離れたことがなくても、ウソをついたことにならない。今年はまだ外国に出かけていないというのが事実だから。
ふむふむ、確かに間違いはない。
でも、こういうこと言ってる人って、何においてもこのような口からデマカセみたいなことばかり言ってるから、わかる人が見ればすぐにわかってしまいます。
もし勉強家であるところをアピールしたいのなら、
「この2日間、スペイン語の勉強していないな。今日はやらなくちゃ」
といえば、本当はこの1週間、ずっと勉強していなくとも、普段は毎日勉強しているかのように誤解させることができよう。
もし、そんなこと言われたら「3日前はスペイン語、勉強しとったんか?」と心の中で思ってしまいます。
さらに・・・
自分の価値を貶めるようなことは、決してしてはならない。
いかに自分が重要な存在なのかをアピールするためにも、時折は、相手の勘違いを誘いながら、自分をできるだけ大きく見せたほうがいいのだ。
このあたりから、疑問を感じるようになってきました。
この本の目指している姿が、僕の一番嫌いな「表面だけ取り繕って中身のない」タイプの人間と重なってきたからです。
こんなことして、大きく見られてもしょうがない。
メッキはいずれ剥げます。
いったん醒めてしまうと、読んでいても「その通り!」と同意できなくなってしまいました。
無知であることを「悟られない一言」とは
無知を指摘されそうになった時の一言
「知らないのではなく、ただ聞いただけですけど」
「一応、念のためお聞きしただけです」
「確認をしただけです」
と一言述べておくとよい。
誰でも知っているようなあまりにも常識的なことを質問する時の一言
「あくまで確認なんですけど」
と前置きするような質問をしたほうがいいのである。そして相手の答えを聞いたときにも、初めて聞いたように感心した声をあげるのではなく、「ああ、そうでしたね」と軽く返事をしておけばいい。
これ、どちらも無知であることを悟られます。
逆に、涙目になっていることすらバレバレで、今後「知ったかぶり」のレッテルを貼られてしまいます。
総論に賛成しつつも、必ず「1つ、2つ」はけなす。
相手の言ったことをそのまま賛成するのは芸がない。意見を述べた人も反対されるより賛成される方がいいだろうが「どこか物足りない」という気になる。相手が上司やお得意さまなら「こいつは、おべんちゃらばかり言うイエスマンなのかな?」と疑心を抱かせる危険もある。だから総論には賛成しつつも、必ず、1つ、2つは批判を入れて、きちんと物事を判断できるところもアピールする方がいいという。
「全体としては賛成なんですけれども、2つほど、問題点を感じなくもありません」
「総論としては大いにうなずけるのですが、1つだけ、ひっかかる点があるんですよ」
え~~~い! めんどくせぇ!
こんなことまで気を遣わなあかんのか?!
賛成なら賛成でええがな!
という気がしました。
「~すべき」という表現は避ける
いろいろ書きましたが、参考になることももちろん書かれています。
「~すべき」とか「~ねばならない」という、他の意見や提案をまったく認めないような表現はやめたほうがいい。そういう強い断定表現は、使いどころを間違えると非常に性格的に狭量であるというか、余裕をなくしているように見えてしまう。
今まで意識していなかったのですが、この言い方、よくしているような気がします。
「......というのが私の意見ですが、他の案を考慮しない、というわけではありません」
「......と考えておりますが、それでなければならない、とは微塵も思っておりません」
などと伝えておき、「他の人の意見にも聞く耳を持っているんだよ」というアピールはしておいたほうが無難であろう。
ちょっと気をつけなければいけないと思いました。
最後に
タイトルは「軽く扱われない話し方」ですが、参考になるのは提案がスムーズにいく心配りとか、上手な話の伝え方ではないかと思います。
軽く扱われないための話法を実践すると、逆に「中身のないバカ」か「口からデマカセ野郎」と思われてしまうのではないかと思います。効果があるとすれば、相手が「自分以上に無知」か「見る目がない人」の時だけではないでしょうか?
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