数字が苦手な人の最初の一冊に「数学女子 智香が教える 仕事で数字を使うって、こういうことです。」

「数学女子 智香が教える 仕事で数字を使うって、こういうことです。」(深沢 真太郎)を読んだ。

数学女子 智香が教える 仕事で数字を使うって、こういうことです。(深沢 真太郎)

柴崎智香は理学部数学科を卒業し、大手コンサルティング会社に就職して5年目の27歳。かつてビジネススクールで同じ講座を受講したことが縁で知り合った佐野賢太郎からヘッドハンティングを受ける。

佐野の経営する株式会社ブライトストーンは、全国の店舗数が10店舗の中堅アパレル企業で、取り扱いブランド「WIXY(ウィクシー)」は20〜30代OL向けブランド。業績は悪くないが、それを維持してさらに伸ばすためには、社員一人ひとりが「数字」を使いこなせないといけないと考えている。

ブライトストーンの営業部のリーダーは28歳の木村斗真。大学を卒業してからはアパレル業界で働き、ファッションが三度の飯よりも好きだと公言している。

ん? なんだ、これは?
普通のビジネス書と思っていたら「数字に強い数学女子」と「経験と直感だけで仕事をする文系男子」という正反対の二人が主人公のストーリー形式だった。

小説は好きなのだが、ストーリー仕立てのビジネス書というのは、あまり好きではない。なぜなら、わかりやすくするため、余計な話がムダに感じるからだ。ビジネス書はシンプルで簡潔なものがよい。
と、今まで思っていたが、今回初めて読んでみて、思っていたよりわかりやすかった。ストーリー形式のビジネス書もいいかも。

目次を見ても、なんとなくわかりやすそうなのが伝わるのではないかと思う。
序章 正反対な2人の出会い
第1章 数字を使って会話できますか?
第2章 ビッグデータ時代に必要な数的感覚を持っていますか?
第3章 意思決定に数字を使う本当の理由を知っていますか?
第4章 「分析とは何か」を誤解していませんか?
第5章 エクセルでつくったグラフをそのまま使っていませんか?
最終章 数字のチカラが仕事を変える

ただ、内容はやはり薄い。一般的なビジネス書と比べると、1/3以下くらいのボリュームに感じた。
だから、ある程度知識のある人なら、他の本を選んだ方がよいかもしれない。「数字」とかまったくわからない、知らない、苦手という人が初めて読むにはピッタリだと思う。

なぜ数字が必要か?という話だけでなく、具体的、それもわかりやすい身近な例を挙げて説明してくれるので、誰にでもわかりやすいのではないかと思う。

さらに「STDEVP」や「CORREL」などエクセルの関数も紹介されていたりするので、実際の自分の仕事で試してみたりすると、数字が苦手な人でもより興味も持てるようになるのではないだろうか?

仕事に使う数学の知識について聞かれた智香は、このように答えている。
「......中学校レベル、もしかしたら小学校の算数レベルかもしれませんね」

最初は数字を毛嫌いしていた斗真も徐々に理解していき、このように話している。
「分析=計算ではない。分析=思考である。数学や計算は、その途中で使う『道具』に過ぎない。」

数字は苦手という人に、ぜひ最初の一冊に読んでもらいたい。