ストーカーと出向先の営業部長の嫌がらせで、一粒で二度おいしい「ようこそ、わが家へ」
怖い話を読みたくなって、前回「「キャリー」風間賢二の解説だけでも読む価値あり」で「キャリー」を読んだが、どうもピンとこなかったので、「ようこそ、わが家へ」(池井戸 潤)を読んだ。
Amazonの「内容紹介」に載っていたあらすじはこんな感じだ。
恐怖のゲームがはじまった
真面目なだけが取り柄の会社員・倉田太一は、ある夏の日、駅のホームで割り込み男を注意した。すると、その日から倉田家に対する嫌がらせが相次ぐようになる。
「Amazon.co.jp: ようこそ、わが家へ (小学館文庫): 池井戸 潤: 本」より
花壇は踏み荒らされ、郵便ポストには瀕死のネコが投げ込まれた。さらに車は傷つけられ、部屋からは盗聴器まで見つかった。
執拗に続く攻撃から穏やかな日常を取り戻すべく、一家はストーカーとの対決を決意する。
一方、出向先のナカノ電子部品でも、倉田は営業部長に不正の疑惑を抱いたことから、窮地に追い込まれていく。
直木賞作家が"身近に潜む恐怖"を描く文庫オリジナル長編。
池井戸 潤と言えば、「半沢直樹」シリーズをはじめ、銀行や企業を舞台にしたものが多い印象だ。
恐怖のゲーム、ストーカーとの対決・・・ 今まで持っていたイメージと違う。
しかし、読み始めると、すぐにわかる。通勤途中でのトラブルのあった男からの嫌がらせの話と、職場の嫌がらせの2つの話が同じくらいのボリュームで進行していく。
後者の話は、銀行員の倉田太一の出向先ナカノ電子部品での話で、総務部長の倉田太一と営業部長の真瀬との闘いになるので、いつもの池井戸 潤のペースで安心して読める。
営業部長の真瀬が本当にイヤなヤツで、不正を行っているようなのだが、尻尾を掴もうとすると、上手くスルリと逃げてしまう。逃げるだけならいいのだが、逆に倉田太一が窮地に追い込まれる。なんとか一矢を報いてやろうとするのだが・・・
といった感じでとても楽しめた。
問題は、ストーカーの話だ。
正直「恐怖のゲームがはじまった」みたいな怖さは、あまり感じなかった。ホラー小説なら、読み進めるのが怖くなるほど、ドキドキさせられたりするのだろうが、もっとリアルで、実際に事件に巻き込まれたら、こんな感じなのかな?
いや、本当はもっと地味なんだろな・・・ と思った。