最初から最後まで「楳図かずお」ワールド全開の「マザー」を読んだ
「マザー」(涌井 学/楳図 かずお)を読んだ。
この本は、2014年9月27日に公開される映画「マザー」のノベライズだ。映画「マザー」の監督、脚本を行ったのは楳図かずおで、この映画の主役も楳図かずおで、楳図かずお役を演じるのは片岡愛之助だ。
ちょっとややこしいが、あらすじを読むと、さらにわけがわからなくなりそうになる。
漫画家・楳図かずおのもとに、出版社から彼の生い立ちを本にしたいという企画が持ち込まれる。上司の編集長に連れられてやってきた担当編集者の若草さくらは、かねてから楳図かずおの大ファンで、この企画は彼女自身が熱望するものでもあった。
「Amazon.co.jp: マザー (小学館文庫): 涌井 学, 楳図 かずお: 本」より
さくらは取材で楳図から話を聞くうちに、楳図かずおの創作の原点にはすでに亡くなっている彼の母・イチエの存在が大きく影を落としていることに気づく。
彼の生まれ故郷を訪ね、さらに詳しく楳図の生い立ちを調べるさくらだったが、彼女のまわりで次々と怪異現象が起こる。そして、楳図の母・イチエの葬式の参列者の写真の中に、イチエ自身の姿が写っていることを発見する。
楳図の母にまつわる恐ろしい事実、そして死んだはずの彼女の怨念が底知れない恐怖を巻き起こすのだった......。
どこまで現実で、どこからフィクションなのか。
勝手にミステリー小説と思い込んで読んだのだが、ぜんぜん違った。
ホラー小説に分類されると思うが、それよりも怪奇小説だとか、恐怖小説といった方がピンとくるような話だった。
現実感のない不思議な世界は、まさに「楳図かずお」ワールドといった感じなので、楳図かずおの漫画が好きな人なら受け入れやすいのではないかと思う。
あっという間に読み終わり、えっ? もう終わり? と感じてしまった。もう少し話が長くてもよかったのではないかと思う。
一つだけ違和感を感じたところがある。
子供の頃から活躍している楳図かずおだが、最近はおじいちゃんのイメージで見ていた。
実際、今年で78歳なのだから、おじいちゃんと思っても問題ないだろう。
このビジュアルをイメージして読むと、途中で違和感を覚えることになる。
楳図かずおは、片岡愛之助をイメージして読んだ方がいいだろう。