ほとんど役に立たないビジネス書「日本一『ふざけた』会社のギリギリセーフな仕事術」

先日紹介しました「社内政治の教科書」(詳細は「社内政治が苦手、政治的センスがないと思う人は必読!「社内政治の教科書」」)を読んだ後、本当に疲れてしまいました。

何も考えずに楽しめる本が読みたくなり、手にしたのがこの「日本一『ふざけた』会社のギリギリセーフな仕事術」(シモダテツヤ)でした。

日本一「ふざけた」会社のギリギリセーフな仕事術(シモダ テツヤ)

シモダテツヤ氏と言えば、株式会社バーグハンバーグバーグの代表取締役なわけですが・・・
「バーグハンバーグバーグ? そんな会社知らんわい」
という人もバーグハンバーグバーグの「制作物」ページを見れば、見たことがあるものが一つや二つはあるはずです。

バーグハンバーグバーグだし、「ふざけた会社」という本のタイトルからもわかるように、笑える話だとわかるのですが、「仕事術」です。新書です。ビジネス書です。

では、どんな内容なのか?

日本一「ふざけた」会社と呼ばれるプロモーション会社、バーグハンバーグバーグ。
創立5年、営業しない、いじれない仕事は受けない方針でも、ホンダやauなど、企業からの依頼が殺到している。その社長、シモダ氏が振り切れた企画術・仕事術を公開。
WEBサイト「オモコロ」、ヒット企画「インド人完全無視カレー」「イケてるしヤバイ男・長島からのお知らせ」はどのように生まれたのか? 社内ルールにコンプライアンス。
がんじがらめの世の中なら、「ギリギリセーフ」を狙え!

Amazon.co.jp: 日本一「ふざけた」会社の - ギリギリセーフな仕事術 (中公新書ラクレ 518): シモダテツヤ: 本」より

企画術・仕事術と書いてありますが、シモダテツヤがおもしろおかしく過去を振り替えるみたいな内容でした。

おもろい。けど、仕事に役立つか? と言われると、あんまり役立たんかも?
といったような話でした。

その中でも、いくつか印象に残ったことを。

バズるコンテンツ

バズるコンテンツを作る時は、TwitterやFacebookなどソーシャルメディアを意識する。「ツッコミ=ツイート」になるので、「いかにしてツッコまさせるか」ということが大事。反応の言葉(ツイート)を逆算してネタを作る。幅を持たせるために温度感の違うネタを用意する。それらが上手く閲覧者とハマったときにバズは生まれるそうです。

ここでこんなツッコミが入るはずと予想して、しかも、いろんな人にツッコミをいれてもらえるように、いろんなボケを入れておくということですね。

あえて怒られる企画出し

クライアントから怒られそうなプロモーションを"あえて"考えるという「あえて怒られる企画出し」は、名前がそのまんまなのですが、無難で面白みのないアイデアしか出てこない時によいと思いました。

通そうとするところから企画を考えてしまうと、無意識のうちに思考にブレーキをかけてしまい、当たり障りのないアイデアや、どこかで見たことのあるようなアイデアばかりが出てきてしまいます。そこで「クライアントから怒られる」という条件の中で考えることにより、頭の中のリミッターを一度外してしまうというわけです。最初から「これ無理だろう」と諦めて妥当な企画を考えるよりも「もし本当に実現できたなら......」と考えると、今まで世に出ていないアイデアを生み出せるかも。

「読みやすい量」と「見せたい欲」のバランス

これはよくある話ですが、印刷物の場合、あれもこれも載せたくても、スペースに限りがあるので載せられない。だから厳選して載せることになります。Webページの場合は、縦にいくらでも伸ばせることができるので、あれもこれもとよくなります。

しかし、表現においては、必ず受け手側にとっての許容量というものが存在します。それは、そこに掲載する文の量であり、画像の量です。それらの許容量を超えてしまうと、せっかくの表現も受け手がキャパオーバーしてしまい、読み飛ばしてしまうことになります。

しかし、クライアント側からは「こういった情報を入れてほしい」という意向がやってきます。それがプロモーションで伝える本質的なテーマであれば問題はないのですが、「他部署との付き合いがあるので、これも入れてほしい」といったことや「機能説明をもっと入れたい」といった「余計」なものなら、削る勇気を持たなければいけません。

その意向を全部受け入れると、何を主張したいコンテンツなのかが薄まってしまい、本来一番推したかったことがつたわりにくくなってしまいます。

クレームについて

炎上をさせたくない気持ちが過剰に働いて「そこ、そんなに気にするとこ!?」と考えすぎて、ワケの分からないことを言い出す人がいます。
これもあるあるです。

大多数の人はそれが問題ではないと分かるところに、クレームを入れてくるような暇な人とそこまで真剣に向きあう必要はないはず。
ということですが、こんなこと言ったら、怒られるだろなぁ・・・

クレームを考えるとき、声が大きいから、数が多いから再検討するのではなく、それが本当に意味のあるものなのか、それともただの好き嫌いをぶつけてきただけのものなのか、そこをしっかりと判別することが大事。公序良俗を乱したり、法律違反を犯したりしているわけでもない。ただ個人的に気に入られないというクレームに左右されることはない。
確かにそうなんだけど、クレームを受ける担当の人が迷惑すると思うと、そこまで強くは言えないところです。

最後に・・・

読んでいて感じたのは、自分のやりたい仕事だけを選んでやる。
しかも「ふざけた」ことだけを。

軌道に乗るまでは、この信念を貫くのは大変だったと思いますが、う〜ん、うらやましい。
こんな職場で働きたいと思いました。

というわけで、バーグハンバーグバーグのファンに、ちょっと息抜きしたいと思った人に、オススメです。